住宅ローンの相談を受けていると、夫婦で家を買うときに必ずといっていいほど出てくるのが 「ペアローンと収入合算って、何がどう違うの?」 という疑問です。
どちらも“二人で力を合わせて家を買う”という点は同じなのに、銀行の説明を聞くほど複雑に感じてしまう。 しかも、ローンの組み方ひとつで、税金・団信・登記・金利の選択肢・将来のリスクまで変わるため、知らないまま選ぶと後から大きな差が生まれます。
特に注意したいのは、 「どちらを選んでも家は買えてしまう」 という点です。 銀行は融資が通るならどちらでも問題ないため、あなたの家庭にとってどちらが得か、どちらが安全かまでは踏み込んでくれません。
この記事では、
ペアローンと収入合算の“本質的な違い”
それぞれのメリット・デメリット
将来どんな影響が出るのか を、実務経験にもとづいて整理します。
「なんとなく」で選ばず、あなたの家庭に合った最適な組み方 を判断できるよう、分かりやすく解説していきます。
ペアローンと収入合算の違い
夫婦で家を買うとき、多くの人が最初に迷うのが「ペアローン」と「収入合算」。 銀行の担当者から説明を受けても、専門用語が多くて理解しづらいですよね。 しかも、どちらを選ぶかで将来の支払い方法や税金、万が一のときの保障まで変わってきます。
特に注意したいのは、 「どちらを選んでも家は買える」という点です。 つまり、銀行側はどちらでも融資ができるため、あなたの家庭にとってどちらが得かまでは深く踏み込んでくれません。 しかし、実際にはローンの組み方ひとつで、 ・住宅ローン減税の受けられる額 ・団信の保障範囲 ・登記費用 ・金利の選択肢 などが大きく変わります。
ここでは、まずペアローンと収入合算の違いを一覧で整理し、全体像をつかんでいきましょう。
| ペアローン | 収入合算 |
|---|---|
旦那と奥さんでローン2本 登記費用は2本分 金銭消費貸借契約の印紙代は2契約分 支払いはそれぞれ負担 住宅ローン減税は2人とも対象 団信は2人とも入れる 団信は1人が亡くなったらその分だけ保証 金利上昇リスクヘッジができる | ローンは二人で一本 登記費用は1本分 金銭消費貸借契約の印紙代は1契約分 支払いは片方が負担 住宅ローン減税は1人だけ対象 団信は1人しか入れない 団信は1人で全額入るので全額保証 金利を分けて設定はできない |
ペアローンと収入合算の違いを詳細に解説
住宅ローンを2本にするか1本にするか
ペアローンと収入合算の違いを理解するうえで、最も重要なのが「ローンの本数」です。 実は、この“1本か2本か”という違いが、登記費用、印紙代、団信、減税、金利設定など、あらゆる部分に影響します。
多くの人は「二人で借りるなら同じでしょ?」と思いがちですが、ローンの本数が違うということは、契約書の数も違い、登記の数も違い、団信の入り方も変わります。 つまり、ローンの本数は単なる形式の違いではなく、将来の家計に直結する“重大な選択”なのです。
ここでは、ローン本数の違いがどのように影響するのかを、具体例を交えて解説します。
ペアローンの場合(ローン2本)
例:5,000万円の家を購入
夫:3,000万円
妻:2,000万円
それぞれが自分の借入額に対して毎月返済します。
収入合算の場合(ローン1本)
例:5,000万円を1本で借りる
代表者(多くは夫)が毎月の返済を担当
妻は収入を合算して審査に協力するだけ
登記は2本か1本か
登記は「家の名義」を決める非常に重要な手続きです。 しかし、ペアローンと収入合算では、この登記の仕組みが大きく変わります。
特に注意したいのは、 ・持ち分割合 ・抵当権の本数 ・贈与税のリスク など、専門的な部分が絡んでくる点です。
登記は一度設定すると簡単には変更できません。 後から「やっぱり持ち分を変えたい」と思っても、贈与税が発生する可能性があります。 そのため、ローンの組み方と登記の仕組みをセットで理解しておくことが大切です。
ペアローンの登記(2本)
例:夫3,000万円、妻2,000万円 → 持ち分は「5分の3:5分の2」
所有権も抵当権も2本ずつ登記
贈与税を避けるため、借入額に応じた持ち分にするのが一般的
収入合算の登記(1本)
例:5,000万円を1本で借りる → 持ち分は柔軟に設定可能
所有権も抵当権も1本
実際の支払い割合に合わせて持ち分を決める
例:夫98/妻1 なども可能
ただし持ち分0は不可(収入を合算しているため)
謄本の見方はこちら ⇒ 登記簿謄本(全部事項証明書)の見方と解説 取得方法 コンビニでも取得できるのか
金銭消費貸借契約の印紙代
住宅ローンを組むときに必ず発生するのが「金銭消費貸借契約書(通称:金消契約)」です。 この契約書には印紙を貼る必要があり、金額に応じて印紙代が決まっています。
普段の生活ではあまり意識しない費用ですが、ローンの本数が増えると印紙代も倍になります。 ペアローンと収入合算の違いが、ここでもはっきりと表れます。
ペアローン
→ 契約が2本 → 印紙代も2本分
銀行によっては諸費用ローンも別契約になるため、3〜4本になることも。
収入合算
→ 契約は1本 → 印紙代も1本分で済む
住宅ローン減税を2人とも受けるか、1人だけ受けるか
ペアローンの最大のメリットと言えるでしょう。
ペアローンで組む場合は、ローンが2本になるため、借入が2本ということになります。
なので、旦那と奥さん二人とも住宅ローン減税を受けることができます。
現在の中古物件の住宅ローン減税は、年間最大14万円です。これを旦那と奥さんそれぞれで受けることができるということは、年間で最大28万円の恩恵を受けることができます。
収入合算の場合は、借入が1本なので、どちらか一人しか住宅ローン減税を受けることができません。
※住宅ローン減税は、買主が置かれている現状や、その他税制利用状況、収入、物件条件、借入条件等、条件をクリアしている人が対象になります。また、年々制度が少しずつ変化しています。現状の減税制度の詳細や、自分が対象になるかどうかは、国土交通省へお問い合わせください。
参考URL:住宅ローン減税 国土交通省
団信は2人とも入るか、1人だけ入るか
団体信用生命保険(団信)は、住宅ローンの“命綱”とも言える存在です。 ローン契約者が亡くなった場合、残りのローンが完済されるという非常に大きな保障です。
しかし、ペアローンと収入合算では、この団信の入り方が大きく異なります。 特に、どちらかの収入に依存している家庭では、団信の入り方が将来の生活に直結します。
ペアローン
→ 2人とも団信加入可能 → 亡くなった方の借入分だけ完済 → 例:夫3,000万円・妻2,000万円 → 夫が亡くなると3,000万円だけ完済
収入合算
→ 団信に入れるのは1人だけ → 団信加入者が亡くなれば全額完済 → もう一方が亡くなってもローンは残る
団信の基礎知識解説:住宅ローンの団信とは?生命保険とどっちが得なのか基礎的知識を解説
金利上昇リスクを抑えることができる
金利の選び方は、住宅ローンの総支払額を大きく左右します。 固定金利・変動金利のどちらを選ぶかは、多くの人が悩むポイントです。
ペアローンの場合、2本のローンを別々の金利タイプで組むことができるため、金利上昇リスクを分散することができます。 一方、収入合算は1本のローンなので、金利タイプを分けることはできません。
ペアローン
→ 夫:固定金利 → 妻:変動金利 など、自由に組み合わせ可能
収入合算
→ 1本のため金利タイプは1つだけ
ペアローンと収入合算のメリットとデメリットまとめ
ペアローンのメリットとデメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 住宅ローン減税を2人対象 団信は片方亡くなった場合はその分返済 金利上昇リスクを抑えられる | 登記費用は2本分かかる 金消代は2本分かかる 団信が片方しか発動しない |
収入合算のメリットとデメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 登記費用は1本分 金消は1本分 持ち分設定を柔軟に設定できる メイン債務者が亡くなったときに完済 | 住宅ローン減税は1人分対象 |
収入合算だけどどちらが亡くなっても全額完済になる保険
三井住友銀行、中央労働金庫、その他地銀では、 収入合算でも“2人とも団信に加入できる特約”があります。
片方に病歴がある場合や、団信を分けたくない家庭には非常に有効です。
ぺアローンと収入合算がおすすめな人
ぺアローンがおすすめな人
夫婦ともに収入がある
それぞれの借入額が1,400万円以上
2人とも健康で団信に加入できる
収入合算がおすすめな人
片方の収入で生活している家庭
持ち分を柔軟に設定したい
団信を分けたくない
片方が団信に加入できない病歴がある
まとめ
ペアローンと収入合算は、どちらが優れているというものではありません。 大切なのは、あなたの家庭の収入状況、税金の支払い状況、将来のライフプラン、そして万が一のときのリスク許容度に合っているかどうかです。
ペアローンは、住宅ローン減税を最大限活用したい夫婦にとって非常に魅力的です。 一方で、登記費用や印紙代が増えること、団信が片方しか発動しないことなど、注意点もあります。
収入合算は、費用を抑えつつ、団信を“全額保障”にできる安心感があります。 また、持ち分設定の自由度が高く、贈与税のリスクを避けながら柔軟に家を購入できます。
どちらを選ぶにしても、最も重要なのは「将来どうなるか」を見据えることです。 家は一度買ったら長く住むもの。 ローンの組み方ひとつで、10年後、20年後の家計や安心感が大きく変わります。
この記事が、あなたの家庭にとって最適な選択をするための手助けになれば幸いです。 迷ったときは、ぜひこの記事を読み返しながら、夫婦でじっくり話し合ってみてください。
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