住宅ローンで借入期間40年ローンはやばいと言われる理由。メリットとデメリットとは

    「40年ローンにすれば月々の支払いが下がります」という提案を受けた方もいるかもしれません。

    確かに、35年ローンと比べると月々の返済額は下がります。「それなら40年ローンの方が良いのでは」という印象を持つのは自然なことです。

    しかし、40年ローンには月々の支払いが下がるという見えやすいメリットの裏に、総支払利息が増える・定年時の残債が大幅に増える・金利上昇の影響を受けやすいという見えにくいデメリットがあります。

    私がこれまで多くの住宅ローンの相談に携わってきた経験から正直にお伝えすると、40年ローンは「どうしても月々の支払いを抑えなければならない」という局面での選択肢であり、最初から積極的に選ぶものではありません。

    この記事では、40年ローンのメリット・デメリット・向いている人・向いていない人を、シミュレーションデータとともに正直にお伝えします。

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    こんな人におすすめ
    • 不動産屋から40年ローンを提案されている人
    • 40年ローンのメリット・デメリットを正確に知りたい人
    • 住宅ローンについて基礎から理解したい初心者の人
    目次

    40年ローンの商品の概要

    まず40年ローンという商品の基本的な仕組みと、誰でも利用できるわけではないという前提を理解しておきましょう。

    「40年ローン」という専用の商品があるわけではなく、通常の住宅ローン商品の枠組みの中で借入期間を40年に設定して利用するものです(住宅ローンはフルローンで組むメリットとデメリット。手付金の扱いはどうなるのか解説)。

    35年ローンと40年ローンの違い

    【35年ローン】

    ※各商品によって違いはあります。詳細は、ご利用の商品をご確認ください。

    • 完済年齢79歳11か月まで
    • 借入可能年齢44歳11か月

     

    【40年ローン】
    ※各商品によって違いはあります。詳細は、ご利用の商品をご確認ください。
    • 完済年齢79歳11か月まで
    • 借入可能年齢39歳11か月

     

    多くの銀行では、住宅ローンの完済年齢の上限を79歳11か月に設定しています。この条件のもとで、借入可能な年齢の上限が変わります。

    35年ローンの場合、借入可能年齢の上限は44歳11か月です。40年ローンの場合、借入可能年齢の上限は39歳11か月になります。

    つまり40年ローンを利用できるのは40歳未満の方のみという条件があります。「不動産屋から40年ローンを提案された」という場合、まず自分の年齢が条件に合っているかを確認することが最初のステップです。


    借入期間40年ローンを不動産屋が勧める理由3つ

    不動産会社の担当者が40年ローンを提案してくる場合、その理由を正確に理解しておくことが重要です。提案には悪意がないケースがほとんどですが、「売る側にとって有利な側面」があることも事実です。

    月の支払が減る

    40年ローンを勧める最大の理由が、月々の返済額の低さです。

    金利0.6%での試算(35年ローンと40年ローンの比較)を見てみましょう。

    金利0.6%35年40年差額
    3,000万円7.9万7.0万0.9万
    4,000万円10.5万9.3万1.2万
    5,000万円13.2万11.7万1.5万
    6,000万円15.8万14.0万1.8万
    7,000万円18.4万16.4万2.0万

    50年ローンほどの劇的な差ではありませんが、3,000万円でも毎月9,000円・年間で約10万円の差になります。「月々の支払いを少しでも抑えたい」という場面でこの差は意味を持ちます。

    ただし、この差が生まれる仕組みは「払う金額を減らした」のではなく「払う期間を5年延ばして1回あたりを下げた」というものです。

     

    総借入額を増やすことができる

    40年ローンを勧める最大の理由が、月々の返済額の低さです。

    金利0.6%での試算(35年ローンと40年ローンの比較)を見てみましょう。

    35年40年差額
    400万円3,170万3,400万230万
    500万円3,980万4,250万270万
    600万円4,770万5,100万330万
    700万円5,570万5,950万380万
    800万円6,370万6,800万430万
    900万円7,160万7,640万480万

    50年ローンほどの劇的な差ではありませんが、3,000万円でも毎月9,000円・年間で約10万円の差になります。「月々の支払いを少しでも抑えたい」という場面でこの差は意味を持ちます。

    ただし、この差が生まれる仕組みは「払う金額を減らした」のではなく「払う期間を5年延ばして1回あたりを下げた」というものです。

    総借入額についての参考記事:家を買う年収はいくら必要?年収の何倍借りれる?8倍?現実的な年収 審査金利 返済比率について

     

    団信保証が長く続く

    35年ローンで完済した時点で団信の保証は終了しますが、40年ローンでは40年間にわたって保証が続きます。5年間長く保証が続くという点は、若い年齢で借り始める方にとってはメリットになりえます。

    団信ついての参考記事:住宅ローンの団体信用生命保険(団信) 月いくらなのか 告知等の加入条件とは


    40年ローンはやばいと言われる理由3つ

    40年ローンの「見えにくいデメリット」を数字で確認します。

    月々の支払いが下がるというメリットは直感的にわかりやすいですが、デメリットは長期間にわたって積み重なるため実感が湧きにくいです。購入前に数字として把握しておくことが重要です。

    利息の支払額が高くなる

    借入期間が5年長くなることで、支払う利息の総額が増加します。

    金利0.6%での総支払利息の比較です。

    金利0.6%35年40年差額
    3,000万円326万375万49万
    4,000万円435万500万65万
    5,000万円544万625万81万
    6,000万円653万750万97万
    7,000万円762万875万113万

    50年ローンほどの差ではありませんが、3,000万円の借入で約49万円、7,000万円では約113万円の利息を余分に支払うことになります。「月々9,000円の節約」の裏に「総額49万円の追加利息」が隠れています。

     

    40年以上のローン返済は、定年後の残債が多くなる

    35歳で借入した場合の65歳定年時の残債を比較すると、40年ローンのリスクが明確になります。

    金利0.6%での65歳時残債の比較です。

    金利0.6%35年40年差額
    3,000万円468万818万350万
    4,000万円624万1,091万467万
    5,000万円780万1,364万584万
    6,000万円936万1,637万701万
    7,000万円1,092万1,910万818万

    35歳で借り始めて65歳の定年時点で、35年ローンであれば残り5年分の残債のみのところ、40年ローンではまだ10年分の残債が残っています。借入額が大きくなるほど、この差は深刻になります。

    定年後の収入は現役時代より大幅に減るのが一般的です。その状況で多額の残債を抱えることが老後の生活計画にどう影響するかを、購入前に真剣に考えておく必要があります。

     

    借りている期間が長いと金利が上昇したときの影響を受けやすい

    借入期間が長くなるほど元金の減り方が遅くなります。その結果、金利が上昇した場合の影響を受けやすい状態が長く続きます。

    近年は金利上昇の傾向が見られており、変動金利を選んでいる場合に特にこのリスクが高まります。40年という長期にわたって変動金利リスクにさらされ続けることは、将来の月々の支払い増加リスクという観点からも無視できません。

     


    40年ローンに向いている人・向いていない人

    数字とリスクを踏まえた上で、40年ローンが合っている人・合っていない人を整理します。

    向いている人

    20代の若い方は、35歳で借り始める場合と比べて定年時の残債が少なくなるため、40年ローンのデメリットが相対的に小さくなります。40年ローンの影響が最も少ない年齢層と言えます。

    将来的な収入増加が確実に見込める方も合っている場合があります。今は月々の支払いを抑えておき、収入が増えた段階で繰り上げ返済を積極的に行うという計画が立てられる場合です。

    資産運用が得意で、住宅ローンの金利より高いリターンを継続的に出せる見通しがある方、夫婦共働きで2人以上の収入がある方にも検討の余地があります。

    向いていない人

    定年時の残債が多額になってしまい、それを返済する目途が立たない方には40年ローンはおすすめできません。

    単身者にも慎重な判断を勧めます。一人の収入だけで40年ローンを組んだ場合、将来払えなくなったときの買い替えで、元金が多く残っており買い替えがうまくいかないケースも考えられます。

    40年ローンは1人の収入だけを想定するのではなく、夫婦世帯で2人で収入を作れる家族が使うことを前提に設計された商品という側面があります。



    まとめ

    40年ローンは、月々の返済額が下がる・借入可能額が増えるというメリットがある一方で、総支払利息が増える・定年時の残債が大幅に増える・金利上昇の影響を受けやすいというデメリットがあります。

    この記事でお伝えしたかった最も大切なことは、「40年ローンは最初から積極的に選ぶものではなく、35年ローンで解決できない場合の次の選択肢として検討するもの」ということです。

    まず35年ローンで月々の支払いを賄えるかどうかを検討し、難しい場合に初めて40年ローンを検討するという順番が合理的です。

    また、40年ローンを扱える金融機関は限られており、取り扱い銀行によってはメガバンクより金利が高い場合があります。その場合、シミュレーションで示した総支払利息よりさらに高くなる可能性があることも念頭に置いておいてください。

    40年ローンを検討する場合は、定年時の残債が具体的にいくらになるかを必ず数字で確認した上で、その残債を退職金や資産で返済できるかどうかを冷静に判断してから決断してください。

    💡中古マンション購入でよくある失敗・後悔50選|不動産屋が教える買ってはいけない物件

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      この記事を書いた人

      不動産を愛しています。売買不動産歴10年以上、法人営業、個人営業を経験。売却査定数は5000件以上、内見数は1000件以上、取引数は500件以上、リノベーション件数300件、顧客満足な案件も、訴訟レベルのトラブル案件も経験してきました。不動産購入を検討している人やリノベーションを検討している人、不動産関係者に有益な情報を提供していきます。

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