不動産を探していると、多くの方が「もう少し待ってみよう」という判断をします。
「価格がもう少し下がるかもしれない」「もっと良い物件が出てくるかもしれない」「金利が落ち着くまで様子を見よう」こうした理由で、購入を先送りにするケースは非常に多いです。
私がこれまで1,000人以上の購入相談に携わってきた経験から正直にお伝えすると、「待つ」という選択には思った以上に大きなリスクが伴います。
待っている間にも賃料は消えていきます。物件価格は下がるどころか上がり続けることがあります。住宅ローンの金利は上昇します。年齢が上がれば審査条件も変わります。健康状態が変われば団信に入れなくなることもあります。
一方で、「今すぐ何でもいいから買え」と言いたいわけでもありません。自分の状況に合っていない物件を買ってしまえば、また買い替えという余計な出費が発生します。
この記事では、1,000人以上の購入者のヒアリングから見えた「買い時のきっかけ」・「待つことのリスク」・「本当に買い時ではないタイミング」を正直にお伝えします。
- 希望の物件が出てくるまで待つことのリスクを知りたい人
- 今気になる物件を逃したら次が出てくる確率はどれほどか知りたい人
- 自分にとっての「買い時」はいつなのかを判断したい人
中古マンションの買い時はいつなのか 1000人以上から直にヒアリングをした購入の「きっかけ」

「買い時はいつか」という問いに対する答えを出す前に、実際に購入した方々がどんなきっかけで決断したかを見ておきましょう。
属性によって買い時のきっかけは大きく異なります。自分の状況に近いパターンを確認することで、自分にとっての買い時がどこにあるかを判断しやすくなります。
男性単身の購入のきっかけ(買い時)
- 単に賃料がもったいない
- 長い目で見た投資
- 将来賃貸で住まなければいけない不安に対しての家購入
男性単身で購入を決める方のきっかけとして最も多いのは「賃料がもったいない」という感覚です。毎月の家賃が資産に変わらないことへの意識が高く、早い段階から購入を検討する方が多いです。
長い目で見た投資という視点を持っている方も多く、将来的に高齢になったときに賃貸を借りにくくなるリスクへの備えとして購入するという考え方も見られます。
男性単身の方は総じて決断が早い印象で、内見から契約まで素早く進み、4〜5年後に買い替えるというパターンをとる方も一定数います。
女性単身の購入のきっかけ(買い時)
- 将来賃貸で住まなければいけない不安に対しての家購入
- リモートきっかけでの購入を考える人が多い、家の時間を充実させたい
女性単身の方で最も多いきっかけは、将来への不安です。高齢になったときに賃貸を借りにくくなるリスクや、老後の住まいに対する漠然とした不安が購入の動機になることが多いです。
リモートワークが増えたことで家での時間が長くなり、「もっと快適な環境で暮らしたい」という気持ちが購入のきっかけになるケースも増えています。「どうせ長く家にいるなら、自分の家を持ちたい」という感覚です。
夫婦の購入のきっかけ(買い時)
- 単に賃料がもったいない
- 結婚をきっかけに購入したい
- 婚約中でこれから結婚するから買いたい
- 拠点を決めて落ち着きたい
夫婦の場合は、結婚または婚約をきっかけとして購入を検討するケースが圧倒的に多いです。「新生活の拠点を決めて落ち着きたい」「一緒に住む場所を持ちたい」という動機が強く見られます。
「賃料がもったいない」という動機も多く、二人で賃料を払い続けることへの問題意識が購入の後押しになることがあります。
家族の購入のきっかけ(買い時)
- 単に賃料がもったいない
- 妊娠したことをきっかけに家族が増えるから
- 出産後、家族が増えたから
- 子供が小学校に入る前に購入したい
- 2人目を妊娠した、出産した。
子どもがいる家族の場合は、子ども中心のきっかけが最も多いです。妊娠をきっかけに「子どもが生まれる前に広い家を確保したい」という動機や、「子どもが小学校に入る前に学区を決めたい」という理由が典型的です。
2人目の妊娠・出産をきっかけに、今の部屋では手狭になってきたという理由も多く見られます。
買い時はいつかという問いへの答え
属性別の購入きっかけを整理すると、一つの共通点が見えてきます。
「今の状態を変えたいと思ったとき」が買い時です。
将来への漠然とした不安、賃料への不満、家族構成の変化、ライフスタイルの変化。こうした「現状を変えたい」という動機が生まれたタイミングが、その人にとっての買い時です。市場の動向や価格の高低は、その後の判断材料にはなりますが、買い時を決める本質的な要因ではありません。
中古マンションの買い時はいつなのか コスパの良い築年数とは
買うべき築年数について
「買い時」の次に重要なのが「どんな物件を買うか」という問題です。
築年数については「買ってはいけない築年数は存在しない」というのが正直なところです。ただし、エリアや予算によって、現実的に狙うべき築年数は変わってきます。
都心で買う人
都心・駅近の物件を狙う場合、築古物件を視野に入れなければ、良い立地の物件を手に入れることは難しいのが現実です。
駅から近い物件は歴史的に見ても人気が高く、築年数が浅いままで売りに出される物件は限られています。「築浅のみで探す」という条件にすると、予算を大幅に超えてしまうことが多いです。
旧耐震物件も視野に入れながら、管理状態が良好かどうかを重点的に確認した上で選ぶことが、都心での現実的な物件選びです(中古マンション購入で内見のチェックポイントや注意点38線)。
都心から離れる、ターミナル駅から離れて買う人
人気の低い駅や商業施設が少ないエリア、バス便のエリアを検討している場合は、新耐震基準以降の物件を選ぶことをおすすめします。
マンション建替法(円滑化法)の改正により、旧耐震物件の建替えが進みやすい環境になってきています。今後旧耐震物件の建替えが増えていく可能性があり、そのリスクを避けるという観点から、人気エリア以外では新耐震基準以降の物件を選ぶことが安全です(建て替え決議や実績 マンション建替法(円滑化法) メリットやデメリットを全て徹底解説)。
希望物件を待つリスク 大きい懸念4選+その他11選
ここからは、「もう少し待とう」という判断に伴う具体的なリスクをお伝えします。
「待つことも一つの選択肢」という考え方は間違いではありませんが、待つことにはリスクがあることを知った上で判断することが重要です。
単に賃料支出が多くなる



「今は価格が高いから、もう少し待とう」という判断の際に、多くの方が見落としがちなのが賃料の積み重ねです。
賃料が月12万円の場合、1年間待つだけで120万円が消えていきます。3年間待てば360万円です。
「3年後に価格が下がるかもしれない」という期待のもとで3年間待った場合、物件価格が360万円以上下がらなければ、賃料として払い続けた費用を回収できません。
さらに正直に言うと、3年間の時間は取り戻せません。同じ360万円の価格下落があっても、「3年待つ価値があったか」と問われると、多くの方が納得できないと感じるでしょう。市場に関係なく早めに購入することの方が、多くのケースでトータルのコストが低くなります。
例
賃料12万円の場合で、1年待った場合は単純計算120万円です。
例えば、今は価格が高いからという理由で3年後に購入する事を検討した場合、3年分の賃料は360万円ということになります。
今は高いからという理由だけで言うと、3年後まで待つメリットとして、物件価格が360万円以上下がらないと無意味の待ち時間になってしまいます。
実際には、3年分待っていてその分の時間は返ってこないので、360万円の下落ではちょっと納得いかないところもあります。
私個人的には、3年も待つなら1,000万円くらいは下落していてほしいというのが本音です。
希望する物件は存在するのか
購入を検討している方の中には、希望条件と予算が大きく乖離している場合があります。
例えば「予算3,000万円・調布駅10分以内・70㎡・新耐震基準・リノベーション済み」という条件の物件を探していたとします。こうした条件の物件が仮に存在したとしても、市場に出た瞬間に複数の購入希望者が殺到して即日売れてしまうでしょう。現実的には、この条件で販売される物件は存在しないと考えた方が良いです。
「良い物件が出てくるまで待つ」というスタンスの方の中には、こうした現実とかけ離れた希望条件を持っている場合があります。現実的な条件の組み合わせを不動産担当者と一緒に整理することが、最初の重要なステップです。
例
予算3,000万円
調布駅10分以内
70㎡
新耐震基準
部屋はリノベーション済み
と言う物件を探していたとします。
こんな物件はありません。格安すぎてこんな物件があれば秒で売れてしまいます。
つまり現実的には存在しない物件を探してしまっている人がいます。
自分自身のライフスタイルに合い、予算も無理なく購入できる物件は何なのかを不動産屋と探していけるといいですね。
希望物件が出現する確率はどれほどなのか
「このマンションの、もう少し広くて南向きの部屋が出てきたら買う」という条件で待っている場合、実際にその条件の部屋が出てくる確率がどれほどか、具体的に計算してみた事例を紹介します。
80世帯のマンションで、70㎡を超える部屋が80世帯中20世帯(25%)、さらに南向きに絞ると10世帯(12.5%)という状況だったとします。過去の成約実績を調べると、年間1部屋程度が販売されているが、70㎡超・南向きの部屋は過去5年間で0件だったというケースがあります。
この場合、統計的には最悪8年以上待たないと希望の部屋が出てこない計算になります。しかも、奇跡的に出てきたとしても、他の購入希望者に先に買われてしまう可能性もあります。さらに、やっと出てきた物件が他の理由(下の階に問題のある住人がいる・汚れがひどくてリフォーム費用が膨大になるなど)で断念することもあります。
「待てば必ず希望の物件が出る」という保証は、どこにもないのです。
例
80世帯マンションの60㎡の部屋(西向)を内見したが、もう少し広くて、南向きの部屋が良いと感じた。
このマンションは立地、築年数、管理状態が好みであり、同じマンション内、他の部屋で70㎡台が販売されるのを待つ事を決断した。
しかし、半年ほど待っても70㎡を超えて南向きの部屋は出てきませんでした。
そもそも希望とする部屋の数がそもそも少ないのではと疑問を感じ調べたところ、
70㎡を超える部屋は80世帯中20世帯ありました。25%です。
70㎡を超えて、南向きの部屋は10世帯でした。10%です。
過去の成約事例を調べたところ、平均して、年に1部屋販売されている履歴がありました。
過去5年で70㎡を超えて、南向きの部屋の販売履歴は0部屋でした。
しかし、60㎡や、他の向きの部屋は年1部屋程度販売されています。
この場合は、最悪の場合、8年程度待たないと、70㎡で南向きの部屋が販売される事は確率として低いという事になります。
奇跡的に1年以内に販売されたとしても、他のお客様に買われてしまう可能性も捨てきれず、確実に買える保証もありません。
他にも、やっと販売された希望物件が、その他の理由で購入を断念する可能性も有ります。
例えば、下階に迷惑居住者がいる、下階がゴミ置き場、部屋が想定以上に汚れていてリフォーム費用が掛かり想定以上に予算が膨れ上がる。
完璧な状態で購入できる確率は、実はそんなに高くないのです。
どの不動産を買えばいいかを見極め過ぎて、いつまでも買えない迷宮に入ってしまう
これが最も深刻なリスクです。
私がこれまで出会ったお客様の中で、最も長く家探しをしていた方は20年間探し続けていました。長年同じエリアで探し続けた結果、その辺の不動産屋より相場に詳しくなってしまっているほどでした。
やっと気に入った物件が見つかったと内見を手配したものの、前日に「やっぱりやめる」という連絡があり、おそらくその後も購入できていないと思います。
「もっと良い物件があるかもしれない」「本当にこれで良いのだろうか」という思考から抜け出せなくなってしまう方が一定数います。長くても数ヶ月で決断するのがほとんどの方のペースです。決断は必ずどこかでしなければなりません。
迷宮に入ってしまうリスクを知っておくことが、決断するための第一歩になります。
そもそも待つという行為はとてつもないリスクを負う行為と言えます
希望物件を待つリスク一覧
- 今までの過去の日本を見て、消費者にとって、市場が明らかに良くなるタイミングはありましたでしょうか??
- 良くなる事もあったとは思いますが、円安等の影響もあり、じわじわと物価が上がり、日常生活を圧迫してしまう、そんな印象を受けている人も少なくないと思います。
- 家を買う事を検討したときが買い時なんてことは良く言いますが、本当にその通りだと思います。
- 待つ事で起こりうるリスクはたくさんあります。
- 住宅ローン金利が上がる
- 物件価格が今より上がる
- 年齢が上がる事で住宅ローン審査が厳しくなる人もいる
- 今の収入を維持できているとは限らない、住宅ローン審査に響く
- 建築費用の増加による、不動産価格の高騰
- 病気や怪我のリスク、大病をしてしまうと団信付の住宅ローンは利用できない可能性がある。
- そもそも今よりも物件数が減る可能性も0ではない。それはイコール物件価格が上がる可能性があるということ
買い時ではないときはいつか
「待つことにはリスクがある」とお伝えしてきましたが、「どんな状況でも今すぐ買うべき」とは言いません。本当に買い時ではない状況も存在します。
転勤が多い
現在の会社での転勤が頻繁に発生する職種の場合、購入のタイミングとして慎重に考える必要があります。
家を買って2年後に転勤が決まった場合、物件を空室にして別の場所で賃貸を借りるか、家族ごと引越すかという選択に迫られます。買った物件を賃貸に出して運用する方法もありますが、転勤先でもローンを組む余力が必要になるなど、財務的な複雑さが増します。
転勤の多い職場では、住居への福利厚生が充実していることも多いため、購入のメリットが相対的に小さくなる場合があります。
住宅ローン審査の条件が明らかに不利なとき
審査結果が多少悪くても、それだけで購入を断念する必要はありません。しかし、あと半年待つだけで審査が通る銀行が大幅に増えるという状況なら、少し待つことに意味があります。
例えば、勤続年数が1年未満の場合は、1年を超えてから審査を出した方が明らかに有利です。自営業で確定申告の期数が少ない場合も、もう1期待つことで結果が大きく変わることがあります。
「明らかに審査条件が今後改善する見込みがある場合」は、その改善を待つことが合理的です。「なんとなく不安だから」という理由で先延ばしにすることとは区別してください。
本当に買いたい物件がないとき
希望にほぼ合致する物件がある場合、多少の妥協があっても購入を検討する価値があります。しかし、心から「この物件が欲しい」と思えない状態で購入することは避けてください。
買いたいと思えない物件を購入した場合、結局また買い替えることになる可能性が高く、余計な費用と時間が発生します。「今すぐ何かを買わなければ」という焦りから、納得できない物件を購入することは後悔につながります。
まとめ
「中古マンションの買い時はいつか」という問いへの答えは、シンプルです。
「現状を変えたいと思ったとき」が買い時です。
市場の価格動向・金利の変化・景気の見通しに基づいた購入タイミングの判断は、専門家でも正確に予測することは難しいです。それよりも、自分のライフステージ・家族構成・経済状況・ライフスタイルに合わせて「今が変え時かどうか」を判断することの方が、後悔のない買い物につながります。
この記事でお伝えしたかった最も大切なことは、「待つことにもリスクがあることを知った上で判断する」ということです。
「良い物件が出るまで待とう」「価格が下がるまで待とう」という判断は一見慎重に見えますが、待っている間にも賃料は消え続け、金利は上がり、年齢は重なります。
「今すぐ買わなければいけない」ではなく、「待ち続けることのコストを正確に把握した上で、自分の状況に合ったタイミングを選ぶ」という視点を持って、不動産購入に臨んでください。
💡中古マンション購入でよくある失敗・後悔50選|不動産屋が教える買ってはいけない物件














