不動産を選ぶとき、予算・面積・場所・ペット可否など、さまざまな条件が頭をよぎりますよね。
その中でも、最終的に譲れない条件として最上位にくるのが、やはり“予算”ではないでしょうか。
そこで今回は、**低予算でマイホームを叶えられる選択肢として注目されている「団地購入」**について、徹底的に解説していきます。
- 団地購入を検討している
- 団地のメリットとデメリットを知りたい
- 団地の耐震性について知りたい
- 団地の建て替えについて知りたい
団地購入のメリット8選
団地は圧倒的に価格が低い
まず何と言っても、団地の魅力は“価格の安さ”です。
35年住むことを考えると、月々の支払いは少しでも抑えたいもの。団地は場所にもよりますが、数百万円台から購入できる物件も珍しくありません。
築古の割に地震に強い(耐震)
意外と知られていませんが、団地は築年数が古く旧耐震基準であっても、構造上、地震に強い傾向があります。
団地の多くは「壁式構造」で建てられており、柱ではなく“壁”で建物を支える仕組みです。
壁式構造はラーメン構造に比べて躯体が多く、耐震診断でも新耐震基準と同等以上の結果が出ることもあります。
さらに団地は5階建てが多く、建物自体が高層のマンションに比べて軽量なため、地震に強くなりやすいのです。
図面上での見極め方
ラーメン構造の場合は、下記の図面のように、柱が存在します。この建物は柱で建物を支えています。



壁式構造は、下記の図面のように柱がありません。この場合は壁で建物を支えております。



土地が広い
団地は複数棟をまとめて建てるため、敷地が広大です。
敷地内に公園やテニスの壁打ちスペースがある団地もあり、ゆとりある環境が魅力です。
周辺環境が良い
多くの人が住むため、周辺には小学校・中学校・スーパー・コンビニ・薬局など、生活に必要な施設が揃っているケースが多いです。
バス便が豊富な団地も多く、暮らしやすい環境が整っています。
周辺環境の参考記事:不動産購入での【嫌悪施設一覧】 資産価値にも生活にも影響する施設とは
長期居住者が多い
長く住んでいる人が多いということは、団地を気に入り、管理を良好に保とうとする住民が多いということ。
そのため、適当な築古マンションよりも建て替えリスクが低い傾向があります。
リノベーションをして好きなデザインの部屋に住める
団地は物件価格が低いため、リノベーションに予算を回しやすいのが魅力。
自分好みのデザインに仕上げて、快適な住まいをつくることができます。
リノベーションでトラブル事例の記事:中古マンション購入のリノベーション施工のトラブル事例と対策をセットで紹介!
管理費・修繕金が安い
世帯数が多いため、1世帯あたりの負担が軽く、管理費や修繕積立金が安い傾向があります。
団地購入のデメリット5つ
エレベーター無である
団地はエレベーターがない物件が多く、資産価値としては1〜2階が売れやすい傾向があります。
4階・5階は売却が難しくなるため、購入時は3階以下を選ぶのがおすすめです。
【エレベーター無しに関する記事】
3階:団地購入で気になるエレベーター無し3階を買うメリットとデメリット。老後の心配
4階:団地購入でエレベーター無し4階は買うな メリットとデメリットを解説 引っ越しも大変
5階:エレベーター無し5階は売れない。だけど唯一無二のメリットがある!
壁式構造である為に壁が抜けない
耐震性のメリットでもある壁式構造ですが、リノベーションの自由度は下がります。
躯体壁は抜けないため、間取り変更に制限が出る点はデメリットです。
旧耐震物件は住宅ローン取り扱い不可の金融機関がある
旧耐震の団地は、金融機関によっては住宅ローンの取り扱いができない場合があります。
購入前に必ず確認しましょう。
取り扱い不可物件についての記事:住宅ローンで審査される項目とは?【属性・担保評価】通りずらい職業とは
1階は床下が空洞になっており、断熱が不十分な可能性がある
1階住戸は床下が空洞になっている場合があり、断熱が不十分なケースがあります。
購入前に床下の断熱材を確認することをおすすめします。
1階についての記事:マンション1階の虫発生率(ゴキブリ)メリットとデメリットと後悔事例
部屋がそのままでは住めない可能性がある。リノベーションが必要である
団地はそのまま住めない状態の物件も多く、リノベーション費用が必要です。
近年は円安やウッドショックの影響で費用が高騰しており、
- 50㎡:約1,200万円
- 60㎡:約1,300万円
- 70㎡:約1,400万円
- 80㎡:約1,600万円
が相場になっています。
ワンストップリノベーション会社ランキング:東京ワンストップリノベーション会社ランキング!リノベーション会社一覧から良質な会社を抜粋
団地を購入して後悔した話
団地のメリットもデメリットも理解したうえで、実際にどんな後悔が起きるのか。ここでは、実際にあった事例をお話しします。
ある30代のご夫婦が、団地の購入を検討していました。
立地が良く、そのエリアにしては価格もかなり手頃だったため、「これはチャンスだ」と思い、購入を決断したのです。
購入した部屋はリノベーション済みで、とても綺麗な状態。
60㎡の2LDKという広さは、夫婦二人で暮らすには十分すぎるほどで、引っ越し当初は快適そのものでした。
ところが、引っ越してしばらく経ったある日、突然、下の階の住人が訪ねてきました。
「音がうるさいので静かにしてほしい」とのこと。
ご夫婦は特に騒いだ覚えもなく、「そんなにうるさかったかな?」と思いながらも、丁寧に謝り、音には気を付けるようにしました。
しかし、その1週間後、また下階の住人が訪問してきます。
今回も「音がうるさい」との訴え。
ご夫婦としては前回よりも気を付けて生活していたため、心当たりがありません。
どの程度の音なのか尋ねてみると、「ドンドンと響く」とのこと。
ただ、生活音として避けようがない部分もあり、どう対処すべきか悩んでしまいます。
さらに2日後、また同じ住人が訪ねてきました。
今度は少し怒り気味で、「いい加減にしてくれ」と強い口調です。
ご夫婦は「これ以上どう気を付ければいいのか…」という思いで、気を付けて生活していることを伝え、生活音として許容してほしいとお願いしましたが、相手は納得してくれません。
そのまま口論になってしまい、解決しないままその日は終わりました。
それ以降、ご夫婦は「また来るのではないか」という不安に押しつぶされるようになり、夜も眠れなくなってしまいました。
警察を呼んでも根本的な解決には至らず、精神的な負担はどんどん大きくなっていきます。
最終的には体調まで崩してしまい、泣く泣く物件を売却するという決断をすることになりました。
もちろん、こうしたトラブルは団地に限った話ではありません。
ただ、団地は静かな環境に建てられていることが多く、その分、音が響きやすいケースもあります。
迷惑住人への対策は難しい部分もありますが、もしリノベーションをするのであれば、床の防音対策をしっかり行うなど、できる範囲で備えておくと安心です。
団地の建て替えリスクについて
築古の団地を購入すると、「将来建て替えられるのでは?」と不安に思う人も多いですが、実際には建て替えは非常にハードルが高いです。
区分所有法によると建て替えの要件は全体の5分の4以上で認められる
第六十二条(建替え決議)
集会においては、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。
2 建替え決議においては、次の事項を定めなければならない。
一 新たに建築する建物(以下この項において「再建建物」という。)の設計の概要
二 建物の取壊し及び再建建物の建築に要する費用の概算額
三 前号に規定する費用の分担に関する事項
四 再建建物の区分所有権の帰属に関する事項
まずは、区分所有法で5分の4以上の賛成が無いと建て替えは認められません。30世帯くらいしかないマンションでもなかなか難しいですが、世帯数の多い団地ともなると、5分の4以上賛成を取るのは困難です。
高齢者が多い
高齢者が多く、建て替えに対するめんどくささや、今のまま生涯過ごしたい人も多い為に、団地は建て替え決議が簡単には進みません。
一団地の総合建築設計制度の認定で建てられている
団地は複数の棟が一つの敷地に建築されます。建築基準法第86条第1項第8項に基づく一団地の総合的設計制度の認定を受けて建築されており、建て替えを行う際に、一棟のみの建て替えは認められない可能性が高いです。
つまり、全ての棟の5分の4以上の賛成が取れないと建て替えは難しい可能性が高いという事です。
以上三つの理由により、建て替えは普通の築古マンションよりもハードルが高いと思われます。
建て替え実績の記事:建て替え決議や実績 マンション建替法(円滑化法) メリットやデメリットを全て徹底解説
団地を購入する年齢層やストーリーについて
多くの取引経験から言うと、団地購入者は50代が最も多いです。
よくあるストーリーとしては、
- 会社の家賃補助があり、購入の必要性を感じていなかった
- しかし定年後は補助がなくなる
- 60歳を過ぎると住宅ローンが組みにくくなる
- そこで50代前半で手頃な団地を購入する
という流れが多く見られます。
購入者の動機は人それぞれですね。
団地で一人暮らしはどうなのか
最近は「団地で一人暮らしもおすすめですよ」とアピールする不動産会社もありますが、実情としては、団地での単身入居はそこまで増えていない市場です。
では、なぜ単身者に選ばれにくいのか。その理由をもう少し深く見ていきましょう。
女性単身は団地に住まない
まず、女性の単身者はセキュリティを非常に重視する傾向があります。
- オートロックがある
- 防犯カメラが設置されている
- 3階以上のフロアで安心して暮らせる
こうした条件を求める方が多いのですが、団地はというと…
- オートロックがない
- エレベーターがない
- 階段で上がれる3階程度までが現実的
という特徴があり、女性が求める条件とどうしてもズレてしまいます。
そのため、女性単身者が団地を選ぶケースは非常に少ないのが現状です。
単身者の住宅購入についての記事:30代、40代の単身女性の中古マンション購入 100人以上から聞いた購入動機
男性単身は団地のようなバス便よりも駅近物件を買う傾向にある
一方で男性単身者は、利便性と将来の売却しやすさを重視する傾向があります。
- 駅から近い
- 通勤しやすい
- 将来売却するときに需要がある
こうしたポイントを優先するため、駅から離れがちな団地は候補から外れやすいのです。
団地は少なくとも駅から徒歩15分以上かかるケースが多く、バス便が中心になるため、男性単身者のニーズとも合いにくいのが実情です。
今の不動産市場、団地はお勧めか
結論からお伝えすると——今の不動産市場では、団地購入はとてもおすすめです。
理由はシンプルで、ここ数年の価格高騰の中で、耐震性・予算・広さという三つの条件を同時に満たせる物件は本当に少ないからです。
でも団地なら、その三つをしっかり叶えられる可能性があります。
団地はもともとの価格が低いため、将来的な価格下落リスクが小さいという大きなメリットもあります。
たとえば、5,000万円のマンションを買った場合、10年後に4,000万円まで下がってしまうことも十分あり得ますよね。
この場合、1,000万円の値下がりです。
一方で、800万円の団地を購入した場合、仮に10年後に半額になったとしても、下落幅は400万円。
もちろん下がらないに越したことはありませんが、リスクとして受け止めやすい金額と言えるのではないでしょうか。
こうして見てみると、団地は「価格が安いから選ぶ」というだけではなく、
“価格下落のリスクヘッジとしても優秀な選択肢” なんです。
今のように不動産価格が全体的に高騰している時期だからこそ、
団地という選択肢は、堅実に住まいを手に入れたい人にとって、とても魅力的な存在だと思います。






















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