マンションを購入するときは、長期間住むことを前提にする人がほとんどであり、中には終の棲家として考えている人もいます。
しかし、購入したマンションが建て替えになるケースもあるかもしれません。
築年数の経過したマンションを購入するとき、どのような点に気を付ければよいのかをまとめしました。
- 築古マンションの購入を検討している。
- 建て替えについて知りたい
結論、マンションの建て替えは何件行われているのか



国土交通省が出しているマンション建替え等の実施状況によると、2004年から2024年までの建て替えの実績は累計で297件(24000戸)の結果となっています。
何万棟もあるマンションではありますが、実際に建て替えに発展したのはごくわずかの数字となっています。



マンションストック総数として、2023年時点で約704万戸です。新築マンションの供給は増え続ける為、ストックは毎年増え続けるます。
これが空き家問題に繋がってきます。
本来であれば、古くなった建物を解体して、建て替えることが理想的な状態です。
旧耐震基準ストック戸数は約103万戸
旧耐震基準のストック戸数は103万戸あり、本来であれば古いマンションが建替えられると供給戸数が増えても、全体のストック戸数は増えずに済み、空き家問題の解決に繋がります。
建替え実績24000戸 ÷ 旧耐震基準物件が約103万戸 = 約2.3% ごくわずかの数字です。
建替えが進まない理由
- マンション全体の5分の4以上の賛成が無いと建替えができない。
- 建替えが行われる場合は所有者に自己資金負担が出るケースがほとんどである
- 高齢者は今の環境を維持したいため、賛成しない
- 建替え後、建物が小さくなってしまう可能性がある
マンション全体の5分の4以上の賛成が無いと建替えができない。
マンション全体の5分の4以上の賛成が無いと建て替えができない為に建て替えが進んでいません。
100世帯のマンションだと80世帯の賛成を得なければなりません。
世帯数が多くなれば多いほど、ハードルは上がっていまいます。
一度は建て替えを検討したとしても、可決されない為、法的に建て替えができないことが問題となっています。
建替えが行われる場合は所有者に自己資金負担が出るケースがほとんど
建替えをする際の流れとして、10年以上前から準備をします。
なぜなら、毎月積み立ている修繕積立金を建て替えにあてたい為、修繕は最低限で実施するからです。
大規模修繕工事をすると1億以上支払が発生することもあります。
しかし、当然修繕積立金だけでは足りない為、各住戸から自己負担が発生します。
1,000万円以上かかるのが一般的で、建て替えているときの仮住まいも自己負担です。
高齢者は今の環境を維持したいため、賛成しない
新築時からずっと住んでいる人、買替でそのマンションに引っ越しきた人、たくさんの人が居住するマンションですが、高齢者が多いマンションは建て替え決議が可決しずらいです。
高齢者は、建て替えなどせずにその住んでいるマンションで一生を終えたいと考えている人も少なくないです。
団地で土地は広くて建て替えたら今より大規模なマンション建築ができるのに可決されないのは、この原因も考えられます。
建替え後、建物が小さくなってしまう可能性がある
法改正により、建築当初よりも建築基準法による建築制限が厳しくなっているマンションも存在します。
これを「既存不適格」と言います。建てた当初は建築基準法通りに建てられている為、違反を犯しているわけではありません。
しかし、建て替えの際には、現法に合わせた面積や高さで建築しなければなりません。
今の面積よりも小さくなるのだとしたら、建て替えに反対したい人が多くなるのは自然でしょう。
区分所有法の歴史
参考資料:国土交通省発行:マンション建替え関連制度の概要
参考URL:国土交通省 マンション建替え等・改修について
昭和37年 区分所有法成立
・建物の区分所有等に関する法律 昭和37年に成立し、昭和38年に施工
・共用部分の変更は全員同意(改良を目的とし、著しく多額の費用を要しないものは4分の3以上の多数で決定)
・建替えについて、規定無し(民法の規定に基づき、全員同意)
昭和58年 区分所有法改正
・共用部分の変更は4分の3以上の決議に緩和(改良を目的とし、著しく多額の費用を要しないものは過半数に緩和)
・建替えについて、過分の費用要件及び5分の4以上の多数に緩和
平成12年 区分所有法改正
・マンションの管理の適正化の推進に関する法律 平成12年成立 平成13年施工
・マンション管理士制度、マンション管理業務主任者の登録制度及びマンション管理適正化推進センター指定
平成14年 区分所有法改正
・共用部分の変更は形状または効用の著しい変更を伴なわないものは過半数の決議に変更
・建替えについて、過分の費用要件を削除
平成14年 マンション建替えの円滑化等に関する法律(マンション建替法)
・マンション建替えの円滑化等に関する法律(マンション建替法) 平成14年成立、施工
平成25年 耐震改修促進法 改正
・耐震改修に係る決議要件の緩和等
平成26年 マンション建替えの円滑化等に関する法律(マンション建替法)改正
・売却制度、容積率の緩和の特例等
区分所有法 建て替え決議
参考WEBサイト マンション管理の法令
第六十二条(建替え決議)
集会においては、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。
2 建替え決議においては、次の事項を定めなければならない。
一 新たに建築する建物(以下この項において「再建建物」という。)の設計の概要
二 建物の取壊し及び再建建物の建築に要する費用の概算額
三 前号に規定する費用の分担に関する事項
四 再建建物の区分所有権の帰属に関する事項
3 前項第三号及び第四号の事項は、各区分所有者の衡平を害しないように定めなければならない。
4 第一項に規定する決議事項を会議の目的とする集会を招集するときは、第三十五条第一項の通知は、同項の規定にかかわらず、当該集会の会日より少なくとも二月前に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸長することができる。
5 前項に規定する場合において、第三十五条第一項の通知をするときは、同条第五項に規定する議案の要領のほか、次の事項をも通知しなければならない。
一 建替えを必要とする理由
二 建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持又は回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額及びその内訳
三 建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容
四 建物につき修繕積立金として積み立てられている金額
6 第四項の集会を招集した者は、当該集会の会日より少なくとも一月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について区分所有者に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。
7 第三十五条第一項から第四項まで及び第三十六条の規定は、前項の説明会の開催について準用する。この場合において、第三十五条第一項ただし書中「伸縮する」とあるのは、「伸長する」と読み替えるものとする。
8 前条第六項の規定は、建替え決議をした集会の議事録について準用する。
区分所有法の建替えとマンション建替法の建替えの違い
参考資料:国土交通省発行:マンション建替え関連制度の概要
参考URL:国土交通省 マンション建替え等・改修について



マンション建替えの円滑化等に関する法律(マンション建替法)
参考資料:国土交通省発行:マンション建替え関連制度の概要
参考URL:国土交通省 マンション建替え等・改修について
- 築40年超のマンションは令和元年末の92万戸から10年後には約2.3倍の214万戸、20年後には約4.2倍の385万戸となるなど、今後、老朽化や管理組合の担い手不足が顕著な高経年マンションが急増する見込み。
- 老朽化を抑制し、周辺への危害等を防止するための維持管理の適正化や老朽化が進み維持修繕等が困難なマンションの再生に向けた取組の強化が喫緊の課題
- 南海トラフ巨大地震や首都直下地震等の巨大地震発生のおそれがある中、生命・身体の保護の観点から、耐震性不足の老朽化マンションの建替え等が喫緊の課題。
- マンション建替組合の設立
- 権利変換に関する仕組み
- 組合による権利の買い取り
- 組合が行う一括登記
- 危険なマンションの建て替え
マンション建替組合の設立
マンションの所有者や管理組合によって設立される組織。マンション建替えに賛同する人や建て替え工事に関わる人で構成されます。
区分所有者の4分の3以上の合意と、都道府県知事の認可が必要です。
権利変換に関する仕組み
マンションの建替えに伴い発生する区分所有権の意向をスムーズに進める為の手続きが定められています。
この仕組みがある事で建て替え後のマンションに区分所有権をスムーズに移転することができる。
組合による権利の買い取り
建て替えに反対している区分所有者に、その人が持つ区分所有権をマンション建替組合が時価で買い取るよう定められています。
例えば、5分の4で以上の決議で建て替えが決議されたとき、残りの5分の1は反対している可能性がありますが、建て替え後にそのまま居住したい、または売却したいとは限りません。
区分所有者は、マンション建替組合が時価で買い取るよう請求することができます。
組合が行う一括登記
所有権の移転手続きをマンション建替組合で一括で手続きできる旨の定めがあります。
マンションの区分所有権の権利を全て、一つずつ抹消し、建て替え後に一つずつ移転手続きをするのだと、膨大な費用と膨大な時間がかかります。
この手続きを個別で実施するのではなく、マンション建替組合で一括管理することで、再登記の手続きを簡略化できるようになりました。
危険なマンションの建て替え
安全性に問題のあるマンションに対して、行政から指導、勧告を受ける旨が定められています。
耐震性や、耐火性など国が定める基準を満たしていない場合は、特定行政庁から要除却認定マンションに認定され、建物の除却を実施しなければなりません。
要除却認定を受けた場合、建て替え工事を実施するか、物件と敷地を一括売却する事になります。
平成26年のマンション建替法の改正
耐震性不足の認定を受けたマンションが建替えにより、新たに建築されるマンションで、一定の敷地面積を有し、市街地環境の整備・改善に資するものについて、特定行政庁の許可により容積率制限を緩和できることとなりました。
マンション敷地売却制度
主な利用シーン
- 建て替えても同規模以上のマンション水準を実現できない
- 要求される水準を満たせる場合でも、各区分所有者の建替え費用負担が重い
デベロッパー等の買受人に敷地事マンションを売却する方法です。区分所有者のメリットとして
- 再建築後にマンションに入居するか、住み替えるかを選ぶ事ができる。
- 区分所有者の合意形成が比較的容易である
- 新たなマンションを建築する場合は容積率の緩和特例がある。
旧耐震は買うべきではないのか 建て替えのメリット・デメリット
旧耐震基準物件とは、1982年6月1日以前の建築確認で建築された建物を旧耐震基準物件と言います。
マンション建替法で、旧耐震物件は除却認定される可能性はありえますが、旧耐震物件は買わないほうが良いのかと言う議論について。
結論としては、立地の良い物件なら可、と言ったところでしょうか。
・建替後の新しいマンションで面積が増える
・建替後の価値が上がり、売却に高値が付く
・建替に各住戸に数千万円単位で負担が発生する可能性がある
・建替えをすること自体が肉体的にも精神的にも負担がかかる(引っ越しが多い等)
立地の良い物件であれば、建て替え後の恩恵を最大限受けることができる可能性が高まります。
なので、旧耐震物件でも駅から近い物件は、買ったほうが良い物件かもしれません。
建て替えについてのまとめ
建て替えについての問題は根深く、多額の費用問題や複数の法律が絡む為、簡単に解消できる問題ではありません。
しかし、国としては、民法から、区分所有法を、区分所有法からマンション建替法を成立させ、旧耐震物件や安全性に問題ある物件の建替えハードルを下げる動きがあります。
除却の認定については、耐震診断IS値0.6未満のものであるため、旧耐震物件のほとんどが該当する項目です。
今後この動きが加速したとき、駅近のマンション建替えが進む事になる可能性があります。
そのときは、不動産市場の価格高騰の可能性が考えられるでしょう。
























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