中古マンションを検討し始めると、まず最初にぶつかる壁のひとつが「修繕積立金」という存在です。
住宅ローンや管理費と違って、名前は聞いたことがあっても、実際にどんな目的で使われているのか、どれくらいの金額が相場なのか、そして将来的に値上げされる可能性があるのかなど、深く理解している人は意外と多くありません。
しかし、修繕積立金はマンションという「建物の寿命」や「資産価値」を左右する、とても重要な要素です。
どれだけ立地が良くても、どれだけ間取りが気に入っていても、修繕積立金の状況が悪ければ、将来思わぬ負担が発生したり、資産価値が下がってしまったりすることもあります。
この記事では、あなたが中古マンションを安心して選べるように、修繕積立金の基本から相場、値上げの理由、そして確認すべきポイントまで解説していきます。
- これから中古マンション購入を検討している人
- 修繕積立金とは何なのか知りたい人
- 修繕積立金の相場を知りたい人
中古マンション購入で重要な修繕積立金とは?
マンションは、一度建てたら終わりではありません。
年月が経てば外壁は劣化し、配管は古くなり、屋上の防水も傷んでいきます。
こうした「建物の老化」は避けられないものであり、放置すれば安全性が損なわれたり、雨漏りや設備トラブルが発生したりします。
そこで必要になるのが「修繕工事」。
そして、その工事費を住民全員で積み立てていく仕組みが「修繕積立金」です。
つまり、修繕積立金はマンションを長く快適に使い続けるための“未来への保険”のようなもの。
あなたがどのマンションを選んだとしても、必ず支払う必要がある費用です。
ここでは、まず修繕積立金がどのように使われ、なぜ必須なのかを、具体例を交えながらわかりやすく解説していきます。
修繕積立金がある理由
修繕積立金とは、マンションが将来行う修繕工事のために、全住戸から毎月徴収されるお金です。
どのマンションでも支払いは必須で、これは法律で定められた仕組みではなく、マンションという共同住宅を維持するための“合理的なルール”として全国で採用されています。
●30世帯のマンションの例
1住戸あたり15,000円を徴収している場合
・月の積立:45万円
・1年の積立:540万円
・10年の積立:5,400万円
小規模マンションでも、大規模修繕工事には5,000万円以上かかることが多いため、10年で5,400万円の積立があれば、ひとまず大規模修繕は実施できます。
ただし、細かな修繕も随時必要になるため、余裕があるとは言い切れません。
●100世帯のマンションの例
1住戸あたり12,000円を徴収している場合
・月の積立:120万円
・1年の積立:1,440万円
・10年の積立:約1.4億円
100世帯規模になると、大規模修繕に1億円以上かかるケースもありますが、この積立額なら十分に対応できます。
さらに4,000万円ほど余剰があるため、その他の修繕にも柔軟に対応できます。
●結論:世帯数が多いマンションは強い
世帯数が多いほど積立金が集まりやすく、修繕計画が安定し、資産価値も維持されやすいのです。
修繕積立金の徴収額は専有面積の大きさに依存する
マンションの修繕積立金は、単に「1戸いくら」と決まっているわけではありません。
多くのマンションでは、専有面積に応じて金額が変わる仕組みを採用しています。
これは、広い部屋ほど共用部分の持ち分が多くなるため、修繕費の負担も大きくなるという考え方に基づいています。
「同じマンションなのに、隣の部屋より修繕積立金が高いのはなぜ?」
そんな疑問を持つ人も多いですが、理由を知れば納得できるはずです。
ここでは、専有面積と修繕積立金の関係を、具体的な数字を使ってわかりやすく説明します。
◆専有面積による金額の違い
修繕積立金は㎡単価で決められることが多く、例えば㎡単価が4,000円の場合:
・30㎡ → 12,000円/月
・80㎡ → 32,000円/月
広い部屋ほど負担が大きくなるのは、共用部分の持ち分が多いからです。
これはマンション全体の公平性を保つための仕組みであり、ほとんどのマンションで採用されています。
修繕積立金の相場
令和5年度マンション総合調査結果参照 ⇒ (1)調査の目的
マンションを選ぶとき、多くの人が気にするのが「修繕積立金は高いのか?安いのか?」という点です。
しかし、相場を知らないと判断が難しく、つい「安いほうが良い」と思ってしまいがちです。
ところが、修繕積立金は安ければ良いというものではありません。
安すぎる場合は、将来の値上げや一時金徴収のリスクが高まります。
逆に高すぎる場合は、毎月の負担が重くなり、家計を圧迫します。
ここでは、国の調査データと実務的な体感値の両方から、修繕積立金の相場をわかりやすく整理していきます。
◆国の調査による平均値
令和5年度マンション総合調査によると:
・駐車場収入などを含む平均:13,378円
・含まない平均:13,054円
単棟型・団地型で多少の差はありますが、概ね1.3万円前後が全国平均です。
◆著者の独断!専有面積別の体感相場(管理費+修繕積立金の合計)
以下の金額以下なら「高いとは言えない」ラインです。
・30㎡:20,000円以下
・40㎡:25,000円以下
・50㎡:30,000円以下
・60㎡:35,000円以下
・70㎡:37,000円以下
・80㎡:39,000円以下
・90㎡:45,000円以下
物件選びの際の目安として活用できます。
修繕積立金が値上げする可能性
マンションを購入する際、多くの人が気になるのが「修繕積立金は将来上がるのか?」という点です。
実は、修繕積立金が値上げされる可能性は十分にあります。
むしろ、値上げされるマンションのほうが多いと言っても過言ではありません。
なぜなら、建物は年々劣化し、修繕に必要な費用も増えていくからです。
さらに、建築費や人件費の高騰、長期修繕計画の見直しなど、さまざまな要因が積み重なり、値上げが避けられないケースもあります。
ここでは、修繕積立金が上がる主な理由を、ひとつずつ丁寧に解説します。
年々工事費が上がっている
建築資材や人件費の高騰により、修繕工事の費用は年々上昇しています。
そのため、積立金もそれに合わせて値上げされるケースが増えています。
築20年以内は段階的に修繕積立金が上がる
新築マンションでは、販売時に修繕積立金を安く設定し、購入しやすくするケースが多いです。
そのため、5年・10年・15年・20年と段階的に値上げされる計画が組まれています。
築20年以内のマンションは、値上げがほぼ確実と考えておきましょう。
築20年以降の物件でも上がる可能性はある
長期修繕計画を見ると、多くのマンションで積立額が不足しているケースがあります。
管理会社の思惑がある場合もありますが、実際に不足しているなら値上げは避けられません。
大規模修繕工事時期に入っているが修繕積立金の積立具合が少ない
大規模修繕は15年に一度が目安。
にもかかわらず積立金が不足している場合、近々値上げされる可能性が高いです。
修繕積立金の積立具合が問題ないか確認する方法
マンションを購入する際、修繕積立金が「適正かどうか」を判断することはとても重要です。
積立金が不足しているマンションを買ってしまうと、将来の値上げや一時金徴収のリスクが高まり、家計に大きな負担がかかる可能性があります。
しかし、修繕積立金の健全性は、外から見ただけではわかりません。
そこで重要になるのが、書類の確認と現地のチェックです。
ここでは、購入前に必ず確認すべきポイントを紹介します。
重要事項調査報告書を確認しましょう
重要事項調査報告書には、修繕積立金の残高、滞納状況、長期修繕計画など、マンションの健康状態が詳しく記載されています。
購入前に必ず確認しましょう。
書類の見方についてはこちらを参照してください ⇒ 重要事項調査報告書の解説(重調の解説)発行のタイミング徹底解説! – ミクロ不動産
現地を見て管理状態を確認しましょう
マンションの管理状態は、現地を見ればある程度わかります。
清掃状況、掲示板、ゴミ置き場、エントランスの雰囲気など、細かな部分に管理の質が表れます。
内見時のチェックポイントを理解しておくと安心です。
内見の際のチェックポイントはこちらを参照してください ⇒ 中古マンション購入で内見のチェックリスト40選をポイントごとに解説 – ミクロ不動産
まとめ
中古マンションの購入において、修繕積立金は避けて通れない重要な要素です。
毎月の支出として家計に影響するだけでなく、マンション全体の資産価値や将来の安心感にも直結します。
修繕積立金が適切に積み立てられているマンションは、建物の維持管理がしっかり行われ、長く快適に住み続けることができます。
逆に、積立金が不足しているマンションは、将来の値上げや一時金徴収のリスクが高まり、思わぬ負担が発生する可能性があります。
そのため、購入前には「相場」「積立状況」「長期修繕計画」「管理状態」をしっかり確認することが大切です。
特に重要事項調査報告書は、マンションの健康診断書のような存在。
必ず目を通し、疑問点は仲介会社に確認しましょう。
修繕積立金は、単なる“毎月の支払い”ではなく、あなたの未来の住環境を守るための大切な投資です。
正しい知識を持って選べば、安心して長く住めるマンションに出会えるはずです。
あなたのマンション選びが、後悔のない素晴らしいものになりますように。
土地と戸建ての情報発信はこちら ⇒ 土地と戸建ての住宅メディア – 何も知らずに家を買うな



















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