「お客様は神様」という言葉が長年使われてきましたが、今の時代、どの業界でもこの考え方は好まれなくなっています。不動産業界も例外ではありません。数千万円が動く取引では、担当者が「このお客様のために頑張りたい」と思えるかどうかが、サービスの質に直結します。
不動産業界に10年以上携わってきた経験から正直にお伝えすると、担当者も人間です。「最高の物件を買ってもらいたい」と思えるお客様と、「少し接しにくいな」と感じるお客様とでは、提供するサービスの質に自然と差が生まれます。もちろんプロとして平等なサービスを目指しますが、完全に感情を排除することはできません。
この記事では、担当者が本音で感じる「好かれる客」と「嫌われる客」の特徴、一番嫌がること、好かれるための行動をまとめました。
この記事でわかること
- 不動産担当者が好まれるお客様の特徴5選
- 担当者が困る・嫌がるお客様の行動8選
- 担当者が一番嫌がること(内見後に別会社で成約)
- やばいと思われる客・クレーマー予備軍の特徴
- 不動産屋が客を選ぶ理由と好かれるための行動
不動産屋に好まれるお客様5選
「担当者に好かれる必要なんてあるのか」と思う方もいるかもしれません。しかし、担当者との良好な関係は、サービスの質・情報の質・交渉力の全てに影響します。媚を売れという話ではなく、自然体で接するヒントとして参考にしてください。
1. なんでも素直に信じてくれる人
変に疑ってかかるより、担当者の話を一旦受け止めてくれる方は、頑張ろうという気持ちになります。「裏があるんじゃないか」という姿勢より、「そうなんですね、なるほど」と聞いてくれるお客様の方が、より多くの情報を提供したくなります。
素直に話を聞いてくれるお客様には、価格交渉を頼まれていなくても「少しでも安くしてあげたい」という気持ちが自然と湧いてきます。物件の懸念点についても、通常は言わないような細かいことまで伝えたくなります。「このお客様には失敗してほしくない」という気持ちが強くなるからです。
2. 営業担当者を信頼してくれていることが感じ取れる
お客様を信頼することは担当者として当然ですが、お客様からも信頼されていると感じるとき、仕事への姿勢が変わります。万が一気に入った物件に問題がある場合でも、他のお客様には言わないような懸念まで伝えることがあります。
逆に「不動産屋はどうせ自分の利益のことしか考えていないんでしょ」という疑いの目で接してくるお客様には、本来の力を発揮しにくくなります。信頼は最初から完全に与える必要はありませんが、「あなたを信頼しようとしている」という姿勢を見せてくれるお客様は、大切に接したい存在です。担当者の見極め方はいい不動産担当者の見極め方と選ぶポイントで詳しく解説しています。
3. レスが早いお客様
担当者がお客様にレスを求めるのは本来筋違いですが、レスが早いお客様は心理的な安全感があります。内見時に懸念点を発見したとき、「どう受け取られるか」という不安が生まれることがあります。伝えた後の反応がすぐに来る方だと、安心して懸念点を伝えられます。
物件の動きは早い場合があり、「検討していますか?」への返信が早い方は、良い物件が出たときにも優先的に情報を提供してもらいやすくなります。返信が遅い担当者への対処は不動産屋のレスポンスが遅い場合の対処法|何日待つべきか場面別に解説を参考にしてください。
4. 他社を匂わせないお客様
「他の不動産会社でも探しています」「あちらの会社からはこういう提案が来ています」という言葉を多用するお客様は、担当者が本気になりにくい側面があります。
金額的なことで言うと、不動産会社によって大きな違いが生まれることはあまりありません。それより、担当者が全力でサポートしてくれる環境を整える方が、長期的に見て得になることが多いです。会社選びそのものについては仲介手数料無料の不動産会社の選び方|からくりと注意点まとめでからくりと注意点を把握しておくと安心です。
5. 家族が仲良いお客様
夫婦・親子・家族で内見に来て、楽しそうに話し合いながら物件を見ているお客様は、「この家族に不幸になってほしくない」という気持ちが自然と湧いてきます。「最高の家を提供したい」という気持ちが、サービスの質の向上につながります。
6. 本人も専門家なのに偏屈にならず対応してくれる
お客様本人が建築設計・施工管理・職人・不動産屋をしていたりすることはときどきあります。その業界の専門家が他社で買う理由は、自社の人に知られたくないことや社割が安くならないことがあります。
専門家の人で偏屈になってしまうと、なかなか対応がしづらくなります。多くの場合は優しく対応してくれますが、偏屈な専門家客は担当者にとって負担になりやすいです。
不動産担当者に嫌われる客の特徴8選
担当者が「少し接しにくい」と感じる行動には共通パターンがあります。あてはまっても、意識を変えることで関係を改善できることがほとんどです。
1. 自分の情報を話したがらない
嫌度は低めですが、年収・家族構成・希望エリア・予算・購入の理由といった基本情報がないと、適切な物件の提案ができません。ある程度打ち解けてきたタイミングで情報を共有してもらえると、的確な提案ができるようになります。住宅ローンの事前審査については住宅ローンで落ちる理由とは?属性・担保の審査基準項目一覧を全て教えますも参考になります。
2. とりあえず内見が多い
「今は買わないと思うけど、参考程度に見てみたい」という内見を何度も繰り返すお客様は嫌がられます。内見は現地への移動・管理会社への連絡・資料準備など、1件に相当な時間と手間がかかります。「購入を前向きに検討している物件を見に行く」というスタンスが大切です。内見の確認項目は中古マンション内見チェックリスト38選|プロが見るべきポイントを完全解説を活用してください。
3. 購入に関係ない細かい質問が多い
「この書類の項目名はなぜこういう名称なのですか?」「この法律の歴史的経緯を教えてください」のように、購入判断に直結しない質問が多いお客様は「少しめんどくさい」と思われることがあります。担当者の本音としては「それを知ってどうするの?」という質問が続くと、本来注力すべき購入サポートに使う時間が削られていく感覚があります。
4. 内見後の結果を教えてくれない
「この物件は見送ろう」と決めたとき、理由を伝えないお客様は困ります。お断り理由を教える義務はありませんが、「価格が合わなかった」「間取りが違った」というシンプルな理由でも、次の提案につなげやすくなります。
5. 約束の時間に30分以上遅れることが常態化している
5〜10分程度の遅刻ならほぼ気にしません。30分の遅刻でも1回なら仕方ないと受け取ります。問題は「いつものこと」になっている場合です。
実際に経験したケースをお伝えします。1回目30分遅刻、2回目30分遅刻、3回目に1時間遅刻があり、「時間通りに来ていただけると助かります」とお伝えしました。それでも4回目に30分遅刻が続いたため、次回の内見はお断りすることにしました。遅刻自体より、連絡がなかったり改善の姿勢が見られないことが問題です。
6. アポを何度もキャンセルされる
内見は担当者一人の時間だけでなく、管理会社・売主・他の担当者など複数の関係者の時間を押さえています。直前のキャンセルは関係者全員に迷惑をかける行為です。同じお客様のキャンセルが繰り返されると、「この方との取引は難しい」と判断されることがあります。
7. 仲介手数料の交渉をされる
正直に言います。仲介手数料の交渉をされることは、本音では気分が萎えます。仲介手数料は不動産会社にとって唯一の収益源です。相談・内見・物件調査・ローン審査サポート・契約書作成まで全て無料で提供し、成約して初めていただけるお金です。
その唯一の収益を「もう少し下げられませんか」と言われると、「今まで無料でやってきた時間は何だったのか」という気持ちになることがあります。交渉するなら感謝を先に伝えた上で、柔らかいスタンスで伝えることが大切です。
8. 上から目線でマウントを取ってくる
「私の方が知識がある」というスタンスで接してくるお客様は、担当者から一歩引かれることがあります。知識があること自体は問題ありませんが、マウントとして使うことは関係構築の妨げになります。名刺の役職や資格で判断しすぎる姿勢も、同様に信頼関係を損ねることがあります。不動産屋の名刺の役職・肩書きの見方|新卒が課長になる理由と信頼できる担当者の見抜き方も参考にしてください。
不動産屋が一番嫌がること
ここまでいくつかの特徴をお伝えしてきましたが、担当者が最も嫌がることをズバリお伝えします。
それは「たくさん内見をした挙句、他の会社で買われること」です。
10件・20件と内見を重ね、物件調査・ローン審査のサポート・資料作成・関係者との調整を全てこなした後に「他の会社で買いました」という連絡が来たとき、担当者の感情は言葉では表せません。不動産会社は、お客様が家を買うまで全てのサービスを無料で提供しています。成約しなければ一円にもなりません。「全力で尽くしたのになぜ!」という気持ちは、不動産担当者として最も切ない瞬間です。
制度上は可能ですが、同じ物件を違う不動産屋で内見してもバレない|複数社のかけもちと断り方を解説でも解説しているとおり、内見を重ねた担当者への配慮は大切です。信頼が生まれたなら、その担当者で購入してあげることが最高の答礼になります。
やばいなと思うお客様・クレーマーかもしれないと思うお客様
担当者がやや警戒するお客様には、次のような特徴が重なることがあります。
- 一般的ではない質問が多い
- 知ったかぶりが多い
- 不動産屋の言っていることを信じない
- 不動産屋全般に対して不信感を持っている
- お金系の交渉が多い
- 何でも記録・録音する(信頼関係より証拠集めが先行)
- 契約直前に次々と条件を追加する
これらがあるから必ずクレーマーになるわけではありません。数千万円の取引で問題が発生した場合のリスクを考えると、担当者が慎重になることは理解できます。
不動産屋が客を選ぶ理由
「不動産屋が客を選ぶ」という表現に驚く方もいるかもしれませんが、実際に行われていることです。
数千万円の取引では、トラブル時の損害賠償の金額も大きくなります。初回の接触でモンスタークライアントになりそうと判断できる場合、担当者はじわじわとフェードアウトすることがあります。クレームが長期化すると担当者が疲弊し、他のお客様へのサービスにも影響が出ます。
不動産担当者が無料で提供するサービスは、個別相談・内見・物件調査・銀行審査サポート・各種書類の作成など非常に多岐にわたります。お金になるのは成約した後だけです。担当者が「このお客様のために頑張りたい」と思えるかどうかが、サービスの質に直結します。
好かれる客になるための具体的な行動
| 場面 | 好かれる行動 |
|---|---|
| 初回連絡 | 予算・希望エリア・家族構成・希望時期を簡潔にまとめて伝える |
| 内見前 | 候補物件をリストアップし、優先順位を事前に伝える |
| 内見後 | 感想と次のアクションを当日中に連絡する |
| 申し込み前 | 交渉事項をまとめて一度に伝える |
| お断りの場合 | 「別の物件に決まりました」「今回は見送ります」と一言連絡する |
担当者変更を検討したい場合は不動産屋の担当者を変更する方法と伝え方のポイントを参照してください。値引き交渉の伝え方は中古マンションの値引き交渉で担当者へ伝えるメール例文を徹底解説も有用です。
嫌われているかもしれないチェックリスト
- [ ] 最近、担当者からの連絡が遅くなった気がする
- [ ] 紹介される物件の件数が減った
- [ ] 内見後のフォローアップが来なくなった
- [ ] 電話をかけても折り返しが遅い
- [ ] 「少し検討します」と言ったきり放置してしまったことがある
- [ ] 複数社に声をかけていることを担当者に伝えている
- [ ] 内見のキャンセルを2回以上したことがある
3項目以上当てはまった場合は、自分の行動を振り返ってみることをおすすめします。不動産屋の休みや連絡が取りにくい時期は不動産屋の休みはいつ?ゴールデンウィーク・年末年始の営業についても参考になります。
まとめ
不動産担当者は営業のプロです。嫌なことをされても簡単には顔に出しません。だからこそ、自分では気づかないうちに「嫌な客」になっている可能性があります。
難しいことは何もありません。素直に話を聞く、信頼の姿勢を持つ、連絡は早めにする、内見後の結果を伝える。この4つを意識するだけで、担当者との関係は大きく改善します。購入申し込み後のキャンセルについては不動産購入申し込み後のキャンセル率と違約金|キャンセルできる期限と注意点を解説もあわせてご覧ください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 一番嫌がること | 内見を重ねた後に別会社で成約されること |
| 嫌われる行動TOP3 | ①情報を話さない ②結果を教えない ③直前キャンセル |
| 好かれる行動TOP3 | ①正直に情報を共有 ②レスが早い ③家族の意見を揃える |
よくある疑問Q&A
Q1. 仲介手数料の交渉は嫌がられますか?
交渉自体は問題ありませんが、「申し込みの条件として半額を要求する」形は最も嫌がられます。初回相談の段階で穏やかに聞くほうがスムーズです。
Q2. 複数の不動産屋を掛け持ちするのはNGですか?
制度上は問題ありません。ただし隠したまま掛け持ちするのは関係悪化の原因になります。
Q3. 内見後に断るのは失礼ですか?
全く失礼ではありません。理由と次のアクションを一言添えて連絡することが大切です。
Q4. 購入経験ゼロでも嫌われませんか?
「購入したい意思がある」「正直に状況を伝えてくれる」この2点があれば、担当者は丁寧にサポートします。
Q5. 担当者に嫌われたと思ったらどうすればいいですか?
まず行動を振り返り、改善できる点があれば変えてみましょう。それでも改善されない場合は担当者変更を申し出ることも選択肢です。









