中古マンション固定資産税の軽減措置と減額申請|見落としがちな節税方法を解説

    中古マンションを購入した後の固定資産税には、一定の工事を行うことで翌年度の税額を大幅に減額できる軽減措置が複数あります。ところが、この制度を知らずに申請せずに終わってしまう購入者は非常に多いのが実情です。

    軽減措置は工事完了後3ヶ月以内の申請が必要で、期限を過ぎると適用されません。工事を計画する前段階から制度の内容を把握しておくことが節税の第一歩です。

    この記事では、中古マンションで使える固定資産税軽減措置の種類・申請方法・申請期限・対象条件・住宅ローン控除との関係まで、実務の視点でわかりやすく解説します。

    目次

    この記事でわかること

    • 中古マンションで使える固定資産税軽減措置の種類(耐震・バリアフリー・省エネ)
    • 各措置の申請方法・申請期限・対象条件
    • 軽減額のシミュレーション(どれだけ節税できるか)
    • 申請窓口と必要書類
    • 住宅ローン控除との関係
    • 築年数・リフォーム計画ごとの活用戦略

    固定資産税の軽減措置の概要

    固定資産税の軽減措置は、国が定めた一定の改修工事を行った場合に、翌年度の固定資産税(建物分)を一定期間・一定割合で減額する制度です。市区町村への申請が必要で、自動的に適用されるものではありません。

    措置の種類主な対象軽減内容軽減期間申請期限
    耐震改修(戸建て)旧耐震基準の住宅建物分1/2減額1年間工事完了後3ヶ月以内
    バリアフリー改修高齢者・障害者等が居住建物分1/3減額1年間工事完了後3ヶ月以内
    省エネ改修一定年代以前の住宅建物分1/3減額1年間工事完了後3ヶ月以内

    いずれも建物分の固定資産税のみが対象で、土地分には適用されません。また、適用は翌年度1年間の減額であり、毎年適用されるものではありません(工事を毎年繰り返せば継続して申請はできます)。


    ①耐震改修による固定資産税の軽減(戸建て)

    対象となる住宅

    耐震改修による軽減は、旧耐震基準(1981年5月31日以前に建築確認)で建てられた住宅が対象です。1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物(新耐震基準)は対象外です。

    旧耐震か新耐震かを確認するには、建築確認の年月日が記載された書類(建築確認申請書の副本・登記事項証明書の表題部)を確認するのが確実です。旧耐震・新耐震の違いと確認方法で詳しく解説しています。

    軽減の内容

    • 翌年度の固定資産税(建物分)が1/2減額(1年間)
    • 例:建物分の固定資産税が年間8万円の場合 → 翌年度は4万円

    申請の要件

    要件内容
    対象工事現行耐震基準(新耐震基準)に適合させる耐震改修工事
    工事費用の下限特に定めなし(ただし一定規模の工事が必要)
    確認書類耐震改修が完了したことを証明する書類(工事業者が発行)
    申請期限工事完了後3ヶ月以内に市区町村の固定資産税担当窓口へ

    必要書類

    • 耐震改修工事が完了したことを証する書類
    • 耐震基準適合証明書(建築士が発行)
    • 住宅の登記事項証明書または固定資産税評価証明書
    • 申請書(市区町村の窓口で入手または公式HPからダウンロード)

    ②バリアフリー改修による固定資産税の軽減

    対象となる住宅と居住者

    バリアフリー改修の軽減措置は、以下のいずれかに該当する方が居住する住宅が対象です。

    • 65歳以上の方
    • 要介護認定または要支援認定を受けている方
    • 障害者(障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方)

    対象となる工事

    工事の種類具体例
    廊下の拡幅車いすが通れる幅の確保
    階段の勾配緩和段差を緩やかにする工事
    浴室の改良介護用浴槽・浴室の段差解消
    洗面所の改良手洗い台の高さ調整等
    便所の改良手すり設置・広さの確保
    手すりの設置廊下・浴室・階段等の手すり
    段差解消各室の段差をなくす工事
    引き戸への取替開き戸を引き戸に変更
    床の滑り止め滑りにくい床材への変更等

    軽減の内容と申請要件

    • 翌年度の固定資産税(建物分)が1/3減額(1年間)
    • 工事費60万円超(補助金等を除く自己負担額)が必要(自治体によって金額が異なる場合あり)
    • 工事完了後3ヶ月以内に市区町村へ申請

    必要書類

    • バリアフリー改修工事の証明書(工事業者が発行)
    • 居住者が対象要件に該当することを証する書類(介護保険被保険者証・障害者手帳のコピー等)
    • 領収書(工事費の確認)
    • 申請書(市区町村の窓口で入手)

    ③省エネ改修による固定資産税の軽減

    対象となる住宅

    省エネ改修による軽減は、1982年1月1日以前に建てられた住宅(すなわち築40年以上程度)が主な対象です。比較的古い物件でのリフォームを想定した制度です。

    対象となる工事

    工事の種類基準
    窓(開口部)の断熱改修省エネ改修促進税制の技術的基準以上
    天井・屋根の断熱改修同上(窓工事とセットが必要な場合あり)
    壁の断熱改修同上
    床の断熱改修同上

    「窓の断熱改修のみ」でも対象になるケースがあります。ただし工事の仕様が省エネ基準(現行省エネ基準・ZEB基準等)を満たしていることの確認が必要です。工事業者に事前に確認しましょう。

    軽減の内容と申請要件

    • 翌年度の固定資産税(建物分)が1/3減額(1年間)
    • 工事費の下限あり(60万円超が目安、補助金等除く)
    • 工事完了後3ヶ月以内に市区町村へ申請

    必要書類

    • 省エネ改修工事の証明書(工事業者または建築士が発行)
    • 工事の仕様が省エネ基準以上であることを示す書類
    • 領収書
    • 申請書(市区町村の窓口で入手)

    申請の流れ:工事から税額軽減まで

    軽減措置の申請は自動ではないため、以下のステップで計画的に進めましょう。

    • STEP 1:工事前に制度を確認 工事業者や市区町村の窓口で対象工事か確認する
    • STEP 2:工事実施 対象工事を行い、工事業者から証明書を発行してもらう
    • STEP 3:工事完了後3ヶ月以内に申請 市区町村の固定資産税担当窓口(または税務課)へ必要書類を提出
    • STEP 4:翌年度の納税通知書を確認 翌年4〜6月頃に届く納税通知書で軽減後の税額を確認する

    申請期限(工事完了後3ヶ月以内)を過ぎてしまうと、その年の軽減措置は受けられません。工事後は早めに手続きを進めましょう。


    軽減額のシミュレーション

    実際にどれだけ節税できるか、シミュレーションで確認しましょう。

    例:築30年・東京23区・建物分の固定資産税が年間6万円の場合

    措置の種類通常の建物分税額軽減後の建物分税額1年間の節税額
    耐震改修(1/2減額)6万円3万円3万円
    バリアフリー改修(1/3減額)6万円4万円2万円
    省エネ改修(1/3減額)6万円4万円2万円

    税額が高いほど節税効果が大きくなります。築20年の物件で建物分の固定資産税が年間12万円であれば、耐震改修なら年間6万円の節税が可能です(旧耐震に該当する場合)。

    築年数別の固定資産税の目安については、中古マンション固定資産税 築20年の計算と相場築30年の計算と相場築40年の実態をご覧ください。


    住宅ローン控除との関係

    固定資産税の軽減措置と住宅ローン控除は別々の制度です。一方を利用しても、もう一方に影響は出ません。

    項目固定資産税軽減措置住宅ローン控除
    対象税固定資産税(建物分)所得税・住民税
    申請先市区町村(固定資産税担当)税務署(確定申告)または勤務先(年末調整)
    申請タイミング工事完了後3ヶ月以内1年目は確定申告(2年目以降は年末調整)
    適用期間翌年度1年間(工事のたびに申請)最大13年間
    同時利用可能可能

    両方の制度を同時に活用できれば、購入後の税負担を複数の面から軽減できます。住宅ローン控除については住宅ローン控除の確定申告から年末調整への切り替え方法で詳しく解説しています。

    築年数・リフォーム計画別の活用戦略

    どの軽減措置が使えるかは、物件の築年数と実施するリフォームの内容によって異なります。

    築年数使いやすい措置備考
    築20年(1981年以降)バリアフリー改修(65歳以上居住の場合)旧耐震でなければ耐震改修・省エネ改修は対象外のことが多い
    築30年(1994年前後)バリアフリー改修(条件あり)省エネ改修は1982年以前の建物が対象のため対象外になりやすい
    築40年以上(1984年以前)耐震改修(旧耐震の場合)・省エネ改修・バリアフリー改修複数の措置が使える可能性が高い

    旧耐震物件(1981年5月31日以前)の耐震改修は軽減効果が最も大きい(建物分1/2)ため、該当する場合は優先的に検討しましょう。旧耐震・新耐震の違いと確認方法であわせて確認してください。

    固定資産税を下げるその他の方法

    固定資産税評価額の縦覧・審査請求

    固定資産税の評価額に誤りや不当な点があると感じた場合、固定資産税の審査申出を行うことができます。

    • 縦覧制度:毎年4〜5月頃、土地・建物の評価額を市区町村窓口で閲覧できる
    • 固定資産税評価証明書の取得:市区町村窓口でいつでも取得可能
    • 審査申出:評価額に不服がある場合、固定資産評価審査委員会に申し出ることができる(期間は納税通知書が届いてから3ヶ月以内)

    実際に評価額が修正されるケースは多くはありませんが、明らかな計算誤りや面積の間違いがある場合は確認する価値があります。

    購入費用全体の節税と不動産会社選び

    固定資産税の軽減措置は購入後の節税策ですが、購入前の段階でも費用を抑えることができます。仲介手数料は物件価格の3%+6万円(税別)が上限であり、3,000万円の物件なら約100万円になります。

    仲介手数料無料の不動産会社の選び方とからくり・注意点で、初期費用を大きく節約する方法を確認しましょう。また諸費用の節約方法10選もあわせて参考にしてください。

    購入を検討中の方は諸費用シミュレーションで、購入時のトータルコストを試算しておくことをおすすめします。

    よくある質問 Q&A

    Q. 軽減措置の申請を工事完了後3ヶ月を過ぎてしまった場合はどうなりますか?

    残念ながら3ヶ月の申請期限を過ぎると、その年の軽減措置は受けられません。翌年以降に再度対象となる工事を行った場合は改めて申請できますが、過ぎた期間分はさかのぼれません。工事前から申請期限を把握し、工事完了後すぐに手続きを進めましょう。

    Q. 複数の軽減措置を同時に申請できますか?

    同じ年に複数の種類の工事を行った場合でも、適用できる軽減措置は原則1種類のみです(各措置は同一の「建物分固定資産税」に対して適用するため)。どの措置を選ぶかは軽減割合の大きさ(耐震改修は1/2、バリアフリー・省エネは1/3)で判断しましょう。

    Q. 申請はどこの窓口でできますか?

    市区町村の税務課・固定資産税担当窓口で手続きします。東京23区の場合は各区の税務課(または都税事務所)が窓口になります。申請書は窓口に用意されているか、自治体の公式ホームページからダウンロードできます。郵送で申請できる自治体も増えています。

    Q. マンションのリノベーション(大規模なリフォーム)で固定資産税は上がりますか?

    内装・設備のリノベーション(フローリング・キッチン・浴室・間取り変更等)では固定資産税は上がりません。建物評価は「再建築価格から経年減価を引いた額」で算定されるため、通常のリノベーションは再建築価格に反映されないためです。増築や用途変更が伴う場合は再評価の対象になることがありますが、マンションで増築はほぼ不可能です。

    Q. 軽減措置を使うと住宅ローン控除に影響しますか?

    影響しません。固定資産税の軽減措置は固定資産税(地方税)に対する制度で、住宅ローン控除は所得税・住民税に対する制度です。全く別の税が対象のため、両方を同時に利用しても互いに影響しません。住宅ローン控除の確定申告から年末調整への切り替え方法で住宅ローン控除の手続きも確認しておきましょう。

    Q. 中古マンション購入後、最初の固定資産税はいつ払いますか?

    固定資産税は毎年1月1日時点の所有者が納付します。そのため購入年は売主と日割り精算(引き渡し日以降の分を買主が売主に支払う)するのが一般的です。翌年からは買主(あなた)宛に4〜6月頃に納税通知書が届きます。購入時の諸費用については諸費用シミュレーションで確認しておきましょう。

    まとめ

    中古マンションの固定資産税軽減措置のポイントをまとめます。

    • 主な軽減措置は耐震改修(1/2減額)・バリアフリー改修(1/3減額)・省エネ改修(1/3減額)の3種類
    • いずれも工事完了後3ヶ月以内に市区町村へ申請が必要(自動適用ではない)
    • 建物分の固定資産税のみが対象(土地分は対象外)
    • 住宅ローン控除とは別制度のため同時に利用可能
    • 旧耐震物件(1981年5月31日以前の建築確認)では耐震改修軽減の効果が大きい(建物分1/2)
    • 申請窓口は市区町村の税務課・固定資産税担当

    工事を計画する前に制度の対象要件を確認し、申請期限を絶対に守るようにしましょう。見落としがちな節税機会を逃さないことが、長期的な維持費の節約につながります。

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      この記事を書いた人

      不動産を愛しています。売買不動産歴10年以上、法人営業、個人営業を経験。売却査定数は5000件以上、内見数は1000件以上、取引数は500件以上、リノベーション件数300件、顧客満足な案件も、訴訟レベルのトラブル案件も経験してきました。不動産購入を検討している人やリノベーションを検討している人、不動産関係者に有益な情報を提供していきます。

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