マンションの内見中、パイプスペースのあたりから音が聞こえてきた、という経験をお持ちの方がいます。「排水管からポタポタと水の音がする」「夜になると天井のあたりから流れる音が聞こえる」など、初めて経験するとかなり驚かれます。
この記事では、パイプスペースや天井裏の排水管から音がする原因と、購入前にできる確認方法、購入後の対処法をまとめて解説します。
こんな人におすすめ
- 築古マンションの購入を検討している方
- 内見中にパイプスペース周辺から音が気になった方
- 排水管や天井裏の配管について知りたい方
- 音問題がある物件の対処法を知りたい方
マンション間取りに書いてあるパイプスペースPSとは?メーターボックスMBとはなんなのか
排水管から音がするのはなぜか
中古マンションの内見や日常生活の中で、パイプスペース付近から音が聞こえる場合、主に2つの原因が考えられます。
空室の内見中に音が聞こえる原因
内見した物件が空室だったにもかかわらず、パイプスペース付近からポタポタという音が聞こえた場合、原因のひとつが排水トラップの封水切れです。
排水トラップとは、キッチンや洗面台などの排水口の下部にあるU字型の配管のことです。ここに水が溜まることで「封水」が形成され、下水管からの臭いや音が室内に入り込まないよう遮断する仕組みになっています。
ところが、物件が長期間使われていないと、このトラップの封水が蒸発してしまいます。封水がなくなると排水管がそのまま外部と繋がった状態になり、パイプ内を伝わる音が室内に聞こえやすくなります。
内見中にこの種の音が気になった場合は、その場で蛇口から水を少し流してみてください。水がトラップに補充されることで、音がピタッと止まることがあります。もし止まれば封水切れが原因なので、入居後は定期的に水を流す習慣をつけることで再発を防げます。
なお、音の問題とは別に、築古物件では配管そのものが劣化しているケースもあります。
騒音の基準はこちら騒音に係る環境基準について | 環境省
築古物件では天井裏に上階の排水管が通っていることがある
もう一つ、特に築年数の古いマンションで多いのが、天井裏に上の階の排水管が通っているケースです。
現在の分譲マンションでは、スラブ(コンクリートの床)の中に排水管を埋め込む方式や、各住戸の床下で配管が完結する方式が一般的です。これなら上の階の排水音が下の階に伝わりにくい構造になります。
しかし、築30〜40年以上の物件では、上の階の排水管がそのまま下の階の天井裏を通っている造りのものが多く存在します。この場合、真上に住んでいる方がトイレを流したり、お風呂の排水を使ったりするたびに、自室の天井近くからゴポゴポ、あるいはザーッという水音が聞こえてきます。
昼間は生活音に紛れて気にならなくても、夜静かになったときに音が際立つことがあります。寝室の位置によっては睡眠に影響するケースもあるため、購入前にしっかり確認しておきたい点です。なお、床の構造が直貼りか二重床かによっても音の伝わりやすさは変わります。
上階からの音に悩まされるケースは排水音に限りません。騒音トラブル全般についてはマンション騒音の種類と原因・対処法まとめも役立ちます。パイプスペースの基礎知識についてはマンション間取りに書いてあるパイプスペースPSとは?メーターボックスMBとはなんなのかでも解説しています。
上階の排水音を軽減・対処する方法
天井裏に排水管がある場合、その音を完全になくすことは技術的に難しい面があります。ただ、いくつかのアプローチを取ることで、日常生活への影響を抑えることは可能です。
リフォームで間取りを変更する
費用対効果のバランスがよく、現実的な対策のひとつが音が気になる部屋の使い方を変えることです。
たとえば、天井裏に排水管が通っている部屋が当初の間取りで寝室になっていても、そこを物置や収納として使い、音の影響が少ない場所を寝室にする方法があります。同様に、音が出てもさほど気にならないトイレや水回りを、あえてその位置に持ってくる間取り変更も有効な手段です。
リフォームを計画する際は、配管の位置や工法の確認が重要になります。施工トラブルを事前に把握しておきたい場合は以下の記事も参考にしてください。
中古マンション購入のリノベーション施工のトラブル事例と対策をセットで紹介!
費用はかかるが防音工事を施す
もう一つの選択肢が、天井に防音対策の施工をする方法です。天井裏に吸音材や遮音シートを入れる工事で、完全に遮断することはできませんが、体感できる程度に軽減する効果は期待できます。
費用の目安は、対象となる部屋の広さや使用する材料によって変わりますが、50万円以上かかるケースが多く、工事の規模によっては100万円を超えることもあります。また、天井裏にアクセスするリフォームは管理規約で制限されている場合があるため、事前に管理組合への確認が必要です。
費用・効果のバランスを比較する
| 対策 | 費用の目安 | 効果 |
|---|---|---|
| 間取り変更(部屋の用途変更) | 数万〜数十万円(リフォーム内容次第) | 生活上の影響を減らせる |
| 天井防音工事 | 50万円〜 | 音は軽減できるが完全消去は困難 |
| 他物件への変更 | 物件価格・引越し費用 | 根本的に解決できる |
どうしても気になる場合は他の物件を検討するのが現実的
天井裏の排水管は共用部分にあたるため、自分の判断で交換や撤去をすることはできません。防音工事で改善できる程度にも限界があり、費用と効果のバランスを考えると難しいと感じる場合も多いです。
どうしても音が我慢できない場合は、他の物件を探したほうが現実的な判断かもしれません。内見を繰り返すなら中古マンション内見チェックリスト38選|プロが見るべきポイント完全解説を活用して、次の物件を効率よく絞り込むといいでしょう。
リノベーション済みの物件では、こうした設備面の問題がすでに解決されているケースもあります。
中古マンションでリフォーム済物件はすぐに住める メリットとデメリット
天井裏に排水管があるかどうかを確認する方法
購入の判断材料として、「この物件は天井裏に上階の排水管が通っているのか」を事前に把握しておくことは大切です。主な確認方法を紹介します。
天井の点検口を確認する
天井裏に排水管が通っている物件には、多くの場合点検口が設置されています。点検口は廊下の天井や洗面所付近に設けられていることが多く、小さな正方形のパネルが目印です。
内見時に開けることができれば、中をのぞいて排水管が通っているかどうかを確認できます。ただし、物件によっては施錠されていることもあり、開ける場合は担当者に断ってから行うのが基本です。自分では確認が難しい場合でも、「点検口はあるか」「中に排水管が見えるか」という点を担当者に確認してもらうことは可能です。
不動産会社の担当者に確認を依頼する
自分では確認が難しい部分は、担当の不動産会社に調べてもらう方法があります。担当者が管理会社・管理組合・売主などに問い合わせ、天井裏の配管状況を確認してくれます。購入前に取得する重要事項調査報告書(重調)にも設備に関する情報が記載されているため、担当者を通じて取り寄せてもらうといいでしょう。
こうした細かい確認にも丁寧に対応してくれる担当者かどうかは、物件選びと同様に大切なポイントです。担当者選びに迷っている方は以下の記事も参考にしてください。
仲介手数料無料の不動産会社の選び方|からくりと14社比較・注意点まとめ
音が気になったら誰に相談すればよいか
排水音は漏水のような明らかな損害を伴わないため、「誰に言えばいいのかわからない」と感じる方も少なくありません。基本的な対応の流れは漏水のときと同じで、段階を追って相談先を変えていきます。
STEP 1:まず購入した不動産会社に連絡する
音が気になった場合は、まず購入した不動産会社に連絡するのが最短ルートです。管理会社に直接問い合わせるより、不動産会社経由のほうがスムーズに対応してもらえることが多く、必要な手配を任せられるケースもあります。
STEP 2:不動産会社が対応しない場合は管理会社へ
不動産会社が積極的に動いてくれない場合は、自分で管理会社に連絡します。同じマンションの他の部屋でも同様の音の問題が起きているケースがあり、前例があれば対処方法を教えてもらえることもあります。担当者の対応が明らかに遅い・不誠実と感じた場合は、不動産購入で担当者を変えたい|無能か優秀かの判断基準10選も参考に担当者の変更を検討してみてください。
STEP 3:管理会社が対応できない場合は管理組合へ
管理会社が対応できない場合、または自主管理マンションの場合は、管理組合に直接相談します。理事会を通じて改善を検討してもらう流れになります。相談時に管理規約の内容を把握しておくとスムーズです。マンション管理規約の読み方|購入前に必ず確認すべき15の項目チェックリストも参考にしてください。
STEP 4:それでも解決しない場合は自分で工事会社を手配する
どこにも対応してもらえない場合は、自分で工事会社を手配するしかありません。漏水のような実害が出ていないケースでは補償を求めることが難しく、基本的には自費になります。音が継続的に発生していて証拠として記録したい場合は、マンション騒音の録音方法と管理組合・警察への相談手順|証拠の残し方を解説も参考にしてください。損害賠償の可否については弁護士に相談することをおすすめします。
騒音問題の相談はこちら住まいるダイヤル(国土交通大臣指定の住まいの相談窓口)
よくある質問(Q&A)
- マンションのPS(パイプスペース)とは何ですか?
パイプスペース(PS)とは、給水管・排水管・ガス管・電気配線などをまとめて通すための縦型の空間です。各階を貫通して設けられており、マンションの構造には欠かせない設備スペースです。普段は意識しにくい場所ですが、音が伝わりやすい箇所でもあります。
- PSが「うるさい」と感じる原因は何ですか?
上の階の人がトイレ・シャワー・洗濯機を使ったときの排水音がPS内を伝わり、隣接する部屋まで聞こえるのが主な原因です。朝夜の給水圧が高い時間帯に管内の水流音が大きくなることもあります。管の老朽化や施工品質によって音の大きさは物件ごとにかなり差があります。
- PSが寝室や子ども部屋に隣接している間取りは避けるべきですか?
深夜・早朝の排水音が眠りを妨げるリスクがあるので、できれば寝室・子ども部屋とPSは離れている間取りを選ぶのが賢明です。間取り図でPSの位置を確認して、寝室との距離を意識して見てみてください。内見のときにPSに近い部屋でしばらく静かに過ごし、配管音が聞こえないか実際に確かめるとより確実です。
- PSの騒音問題はリフォームや対策で改善できますか?
室内側の壁に遮音材や防音シートを貼ることで、ある程度の軽減は可能です。ただしPS内部の配管交換や防音処理は共用部に関わるため、管理組合の許可が必要です。問題が深刻な場合は、管理組合や管理会社に相談するところから対応策を検討しましょう。
- 内見時にPS由来の騒音を事前に確認する方法はありますか?
内見中に担当者に「水道を流してもらえますか」と頼んで、PSに近い壁に耳を当てて確認するのが基本です。朝・夜など住民の生活音が多い時間帯に再訪問すると、より実態に近い音環境を把握できます。内見チェックリストにも騒音確認の項目があるので、その場で体系的にチェックしましょう。
まとめ
パイプスペースや天井裏から聞こえる流水音の主な原因は、空室期間の長さによる排水トラップの封水切れと、築古物件特有の「上階の排水管が天井裏を通っている」構造の2つです。
前者は水を流すだけで改善することが多いのですが、後者は構造上の問題であるため根本的な解決が難しく、リフォームや防音工事などの費用対効果を十分に検討する必要があります。
購入前に音が気になった場合は、その場で水を流して確認する・担当者に配管の状況を尋ねる・点検口の中を確認するといった動きを取ることが大切です。購入後に後悔しないためにも、内見の段階でしっかりチェックしておきましょう。
パイプスペースの基礎知識についてはマンション間取りに書いてあるパイプスペースPSとは?メーターボックスMBとはなんなのかでも解説しています。












