借地権は買ってはいけない?! 売却相場 審査が通る借地権 旧法賃借権・普通借地権・定期借地権・地上権

借地権は買ってはいけない?! 売却相場 審査が通る借地権 旧法賃借権・普通借地権・定期借地権・地上権

    「借地権付きマンション、価格が安いけど大丈夫?」「ローンが通らないって本当?」——借地権物件を検討していると、こうした疑問がつぎつぎと出てきます。

    借地権マンションは、条件次第で優良な買い物になる一方、種類を見誤ると将来の売却で大きく苦労する可能性があります。「安いから」という理由だけで飛びつくのは危険ですが、「借地権だから絶対ダメ」と一律に除外するのも機会損失です。

    この記事では、借地権の4種類(旧法賃借権・普通借地権・定期借地権・地上権)の違いを整理し、メリット・デメリット、売れにくい理由、ローン審査が通りやすい条件、購入前のチェックポイントまで、不動産担当者の視点から解説します。

    この記事でわかること:

    • 借地権と所有権の根本的な違い
    • 4種類の借地権の特徴と買うときのリスク
    • 借地権物件でも住宅ローン審査が通る条件
    • 購入前に必ず確認すべき7つのポイント
    目次

    借地権とは何か——所有権との違いを整理する

    通常のマンション購入では「土地+建物」の両方を取得します。これが「所有権」です。対して借地権の場合、建物は自分のものになりますが、土地は地主から借りる形になります。

    項目所有権借地権
    土地の扱い所有(自分のもの)賃借(地主から借りる)
    固定資産税(土地分)ありなし(地代として支払う)
    売却・転貸自由原則として地主の承諾が必要
    住宅ローン審査通りやすい通りにくい(種類による)
    購入価格相場通り同エリアの所有権より20〜30%安い傾向

    毎月の地代は固定資産税の代わりに地主へ支払います。金額は物件・エリアによって異なりますが、月1〜3万円程度が一般的です。また売却時には地主への承諾と「名義書換料」(売却価格の5〜10%程度)が発生することも覚えておく必要があります。

    不動産購入の基本用語については、中古マンション購入の不動産用語100選も合わせてご覧ください。

    複数の不動産会社を比較して借地権物件を安全に探したいなら、仲介手数料無料の不動産会社の選び方|からくりと注意点まとめが参考になります。借地権物件に強い会社の見極め方も紹介しています。


    借地権の4種類を比較する

    借地権には大きく4種類あり、種類によって「更新できるか」「売れるか」「ローンが通るか」が大きく変わります。物件資料に「借地権」と書いてあっても、その内訳を必ず確認してください。

    旧法賃借権(1992年8月以前の契約)

    1992年8月の借地借家法施行前に締結された借地権で、借主保護が非常に強い契約です。地主が正当な理由なく更新を拒絶することはほぼできないため、実質的に半永久的に使い続けられます。売却時も地主の承諾があれば可能で、相場は所有権の60〜80%程度とされています。建物が古い物件が多く、築年数に注意が必要ですが、4種類の中では最も権利が強固です。

    普通借地権(1992年8月以降の契約)

    借地借家法に基づく更新可能な借地権です。最初の契約期間は30年以上で、更新ごとに20年(1回目)、10年(2回目以降)延長できます。更新拒絶には「正当事由」が必要なため、実質的には長期間使用できます。売却・抵当権設定には地主の承諾が必要です。旧法賃借権と並んで住宅ローンが組みやすい種類です。

    定期借地権

    契約期間が50年以上と定められており、期間終了後は更新なしで土地を返還する必要があります。「更新できない」という点が最大のデメリットで、残存期間が短くなると資産価値が急落します。住宅ローンの担保評価が低くなりやすく、残存20年を切ると金融機関によっては融資を断るケースがあります。購入時に「残存期間が何年か」を必ず確認してください。

    地上権

    法律上は借地権の一種ですが、土地の物権(物に対する直接の権利)として認められているため、地主の承諾なしに売却・賃貸・抵当権設定ができます。4種類の中で最も売却しやすく、住宅ローンも組みやすい。ただし地上権付き物件は市場に流通している数が少なく、見つけたら希少といえます。

    種類更新売却時の承諾ローン通りやすさ相場(所有権比)
    旧法賃借権実質自動更新地主の承諾必要○60〜80%
    普通借地権更新可地主の承諾必要○60〜80%
    定期借地権更新不可地主の承諾必要△(残存期間次第)50〜70%(残存年数次第)
    地上権種類による承諾不要◎70〜85%

    借地権マンションの3つのメリット

    借地権物件には、所有権物件にはないメリットが確かに存在します。適切な物件を選べば、購入者にとって有利な買い物になることもあります。

    ① 購入価格が所有権より20〜30%安い

    同エリア・同スペックの所有権物件と比べると、借地権物件は2〜3割ほど安く取得できます。たとえば所有権なら5,000万円する物件が、借地権なら3,500〜4,000万円で買えるケースがあります。その分、諸費用や住宅ローンの返済負担を抑えられます。購入にかかる諸費用の全体像は中古マンション購入の諸費用シミュレーションでシミュレーションできます。

    ② 土地の固定資産税がかからない

    借地権の場合、土地は地主の所有のため、購入者は土地分の固定資産税を払わなくて済みます。その代わりに地代を支払いますが、地代の方が固定資産税より安い場合もあります。毎年の税負担を抑えたい人にはメリットになります。

    ③ 好立地に安く住める可能性がある

    都心部の好立地には「土地を手放したくないが建物は貸したい」という地主が多く、借地権付きの優良物件が出ることがあります。所有権では予算オーバーになるエリアに、借地権なら手が届くケースがあります。


    借地権マンションの5つのデメリット

    メリットがある一方、借地権には所有権にはないリスクが複数あります。購入前に十分に理解しておかなければ、後悔する可能性があります。

    ① 住宅ローン審査が通りにくい

    金融機関は担保価値を重視するため、借地権物件——特に定期借地権——では抵当権設定が複雑になります。通常の所有権物件に比べて融資を断る銀行も多く、借入できても条件(金利・期間・融資額)が不利になることがあります。ローン審査に不安がある場合は住宅ローン審査に落ちた体験談と対処法も参考にしてください。

    ② 売却に地主の承諾が必要(地上権を除く)

    旧法賃借権・普通借地権・定期借地権では、売却の際に地主の承諾が必要です。また「名義書換料」として売却価格の5〜10%を地主に支払う慣行があります。急いで売りたい状況では売却が長引くリスクがあり、出口戦略を立てにくくします。

    ③ 毎月の地代が発生する

    管理費・修繕積立金に加えて、毎月地代がかかります。地代は地主との交渉で増額されることもあり、将来の費用が読みにくい側面があります。

    ④ 建て替えや大規模改修に地主の承諾が必要

    建物の建て替えや一定規模以上のリノベーションには、地主の許可を得なければなりません。マンション全体で大規模修繕を行う際も、交渉が必要になる場合があります。

    ⑤ 定期借地権は残存期間が短くなると資産価値が急落する

    定期借地権の場合、契約終了が近づくほど物件価値が下がります。残存20〜30年を切ると「住めるうちは住む用途」の物件になり、売却・転用が難しくなります。将来の出口を考えると、残存期間には十分な余裕を持って購入する必要があります。

    中古マンション購入でよくある後悔については、中古マンション購入の失敗・後悔50選も参考にしてください。借地権以外のリスクも網羅されています。


    借地権マンションが売れにくい4つの理由

    「借地権物件は売れない」と言われる背景には、明確な構造的要因があります。旧法賃借権や普通借地権でも注意が必要です。

    • 銀行がローンを出しにくい:買い手側の住宅ローン審査が通りにくいため、購入できる人が絞られる
    • 地主の承諾という不確定要素:売却のたびに地主の同意が必要で、スムーズに進まないことがある
    • 築古物件が多い:旧法賃借権の物件は築年数が古いものが多く、需要が限られる
    • 一般の購入者に馴染みが薄い:「借地権」という言葉だけで敬遠する人が多く、買い手が付きにくい

    実際の売却相場は、所有権の60〜80%程度になるケースが多いです。ただし旧法賃借権で人気エリア・駅近の物件であれば、80%に近い価格で売れることもあります。担当者を選ぶ際は借地権の売却経験が豊富な会社に依頼することが重要です。担当者の見極め方は不動産購入で担当者を変えたい|無能か優秀かの判断基準10選をご覧ください。


    住宅ローン審査が通りやすい借地権の条件

    借地権でも、条件が揃えば住宅ローンを組める場合があります。金融機関が重視するポイントを把握しておきましょう。

    • 地上権または旧法賃借権:転売・抵当権設定が容易なため融資を受けやすい
    • 定期借地権の場合は残存期間が長い:残存30年以上が目安。ローン期間が残存年数を超えると融資不可になる場合が多い
    • 地主が法人(大企業・寺社仏閣など):個人地主より安定性が高く評価されやすい
    • 借地条件変更の余地がある:売却・転貸・増改築に関して柔軟な条件が明文化されている
    • 所有権への転換実績がある:同マンション内で所有権転換が行われた実績があると評価が上がりやすい

    住宅ローンの金利選択(変動・固定)については変動金利・固定金利の選び方|現役担当者が解説を参考にしてください。現在(2026年)の変動金利は1%台が目安です。


    購入前に確認すべき7つのポイント(チェックリスト)

    借地権物件を検討する際は、以下の7点を必ず確認してください。重要事項説明や竣工図書での確認を怠ると、後になって取り返しのつかない問題が発生します。

    確認事項理由・リスク
    ①借地権の種類(旧法・普通・定期・地上権)種類によって更新の可否・売却条件が全く異なる
    ②残存期間(定期借地権の場合)20〜30年を切るとローン不可・資産価値急落
    ③地代の金額と増額規定地代が将来上がる条件が契約書に書かれていないか確認
    ④名義書換料の有無と金額売却価格の5〜10%を地主に支払う慣行がある
    ⑤地主の属性(法人か個人か)個人地主は代替わりで条件が変わるリスクがある
    ⑥売却・転貸・増改築の承諾条件将来の出口戦略に直結する
    ⑦管理組合・修繕積立金の状況借地権に加えて積立不足があると二重リスクになる

    内見時の確認事項全般については中古マンション内見チェックリスト38選もあわせてご覧ください。重要事項調査報告書の読み方は重要事項調査報告書の費用と取得手順で詳しく解説しています。


    よくある質問

    借地権マンションは絶対に買わないほうがいいですか?

    一律に「買うな」とは言えません。旧法賃借権や地上権で地主が法人、駅近・好立地の物件であれば、所有権物件より安く良質な住まいを手に入れられるケースがあります。一方、定期借地権で残存期間が短い物件や、個人地主との条件が不明確な物件は避けるべきです。種類と条件次第で判断が変わります。

    借地権マンションに住宅ローンは使えますか?

    種類によっては使えます。地上権や旧法賃借権は多くの金融機関で融資対象になります。定期借地権は残存期間次第で、30年以上あれば融資が下りる銀行もあります。ただし所有権物件に比べて審査は厳しく、融資条件が不利になることが多いです。事前に複数の銀行に相談することを推奨します。

    地代はいくらくらいかかりますか?

    物件・エリアによって異なりますが、月1〜3万円程度が一般的です。東京都心の好立地では月5万円を超えることもあります。購入前に地代の現在の金額と、将来の増額条件を契約書で確認してください。地代は管理費・修繕積立金に加えて発生する費用です。

    借地権マンションを売るときに地主の許可は必ず必要ですか?

    地上権を除き、旧法賃借権・普通借地権・定期借地権では地主の承諾が必要です。承諾を拒否されることは少ないですが、名義書換料(売却価格の5〜10%程度)を支払う慣行があります。売却のたびにこの費用が発生することを念頭に置いてください。

    旧法賃借権と普通借地権の違いは何ですか?

    最大の違いは契約の時期と強さです。旧法賃借権は1992年8月以前の契約で、借主保護が非常に強く、地主からの更新拒絶はほぼ不可能です。普通借地権は1992年8月以降の借地借家法に基づく契約で、更新は可能ですが旧法よりやや条件が緩くなっています。どちらも適切に更新すれば長期間住み続けられます。

    まとめ

    借地権マンションは「安さ」が最大の魅力ですが、種類を見誤ると将来の売却や住み続けることが困難になるリスクがあります。購入前に確認すべき最重要事項をまとめます。

    • 借地権は「旧法賃借権」「普通借地権」「定期借地権」「地上権」の4種類があり、権利の強さが大きく異なる
    • 定期借地権は更新不可のため、残存期間に十分な余裕があるか必ず確認する
    • 売却時には地主の承諾と名義書換料が必要な場合が多い(地上権を除く)
    • 住宅ローン審査は所有権より厳しく、地上権・旧法賃借権が通りやすい
    • 地主の属性(法人か個人か)と地代の増額条件も確認必須

    借地権物件の購入を検討しているなら、借地権の取り扱い経験が豊富な不動産会社・担当者に相談することが不可欠です。担当者の選び方・変更の判断基準と、中古マンション購入の失敗・後悔50選もあわせてご覧ください。

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      この記事を書いた人

      不動産を愛しています。宅地建物取引士・相続診断士・FP技能士。売買不動産歴10年以上、法人営業、個人営業を経験。売却査定数は5000件以上、内見数は1000件以上、取引数は500件以上、リノベーション件数300件、顧客満足な案件も、訴訟レベルのトラブル案件も経験してきました。不動産購入を検討している人やリノベーションを検討している人、不動産関係者に有益な情報を提供していきます。

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