家を購入するとき、多くの人が「資産価値」を気にします。
もちろん、住み心地や立地、間取りなども大切ですが、将来売却する可能性を考えると、資産価値は無視できません。特に、住宅ローン審査に通るかどうかは、資産価値に直結する非常に重要なポイントです。
なぜなら、あなたが奇跡的にローン審査に通って購入できたとしても、次に売るとき、買主が同じように審査に通るとは限らないからです。
買主がローンを組めなければ、どれだけ気に入っても購入できません。つまり、「ローンが通らない物件=売れにくい物件」という構図が生まれてしまうのです。
この記事では、住宅ローン審査の観点から「これは注意したほうがいい」という物件の特徴を、語りかけるようにわかりやすく解説していきます。
「今まさに物件を検討している」「将来売却するときに困りたくない」そんな方にこそ、ぜひ知っておいてほしい内容です。
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- 住宅ローンが通らない物件を検討している人
- 売却時の資産価値を気にする人
住宅ローンの担保評価とは?
家を買うとき、住宅ローン審査は「人」と「物件」の両方をチェックします。 「人」の審査は、年収や勤続年数、信用情報などが中心ですが、意外と見落とされがちなのが「物件」の審査です。
銀行は、あなたが購入しようとしている物件に本当に価値があるのか、担保として問題がないのかを細かくチェックします。 例えば3,000万円借りたい場合、その物件に3,000万円の価値がなければ、銀行はお金を貸してくれません。
担保評価の主な項目には、次のようなものがあります。
世帯数
管理形態(自主管理・一部委託・全部委託)
専有面積
土地面積
建築基準法に違反していないか
成約価格や周辺相場
土地権利の種類
これらの項目の中でも、特に「ローン審査が通りにくい」致命的なポイントを、ここから詳しく解説していきます。
建築後、土地の一部を分筆し、売却し、建築時よりも土地面積が減っている物件
物件の中には、建築後に土地の一部を分筆して売却し、当初より土地面積が減ってしまっているケースがあります。
不動産業界では「切り売り」と呼ばれることもあります。
例えば、建築当初は1000㎡あった土地が、数年後に200㎡だけ外部に売却され、現在は800㎡しか残っていないようなケースです。
この場合、建築確認申請時の土地面積と現況が異なるため、銀行から「違法性があるのでは?」と疑われてしまうことがあります。
銀行は違法性のある物件には融資できません。 そのため、こうした物件は審査が通りにくく、結果として相場より2割以上安く売られていることも珍しくありません。
都心部でも時々見かけるため、土地面積が減っていないかは必ずチェックしたいポイントです。
接道していない
建物を建てるには、建築基準法で定められた「接道義務」を満たす必要があります。 幅4m以上の道路に2m以上接していなければなりません。
まれにこの接道義務を満たしていない物件が存在します。
都心部ではほとんど見かけませんが、ゼロではありません。実際、目黒区にも未接道のマンションが存在しています。
接道していない物件は、行政指導が入る可能性があり、銀行は担保として扱えないため、住宅ローン審査はほぼ通りません。 「安いから」と飛びつくと、後々売却できずに困る典型例です。
借地権
借地権には複数の種類があり、それぞれ住宅ローン審査の通りやすさが異なります。
旧法賃借権:更新が可能なため、ローンが通るケースも多い
地上権:設定理由によって評価が大きく変わる
定期借地権:ローンは通るが、自己資金2割が必要だったり、借入期間が制限されるなど不利な条件になりがち
借地権は一見安く買えるため魅力的に見えますが、売却時に買主がローンを組めない可能性があるため、慎重に判断する必要があります(借地権は買ってはいけない?! 売却相場 審査が通る借地権 旧法賃借権・普通借地権・定期借地権・地上権)。
土砂災害特別警戒区域
土砂災害警戒区域には「イエローゾーン」と「レッドゾーン」があります。 イエローゾーンは審査に通ることが多いですが、レッドゾーンは審査不可の銀行が存在します。
災害リスクが高いだけでなく、ローンが通らないことで売却時に大きなハードルとなります。 「価格が安いから」と安易に選ぶと、後々後悔する可能性が高いエリアです(土砂災害警戒区域は住宅ローン審査への影響はあるのか?イエローゾーンとレッドゾーンの違い)。
世帯数が10世帯以下
世帯数が10以下の小規模マンションは、住宅ローンが通らない銀行が多く、管理状態も悪くなりがちです。 世帯数が少ないと、修繕積立金を少人数で負担することになるため、1戸あたりの負担額が高くなりやすいのです。
管理費+修繕積立金が月5万円を超えるケースも珍しくありません。 今は安くても、将来的に値上げされる可能性が高く、資産価値の維持が難しい物件です(土砂災害警戒区域は住宅ローン審査への影響はあるのか?イエローゾーンとレッドゾーンの違い)。
自主管理
自主管理のマンションは、銀行によっては審査が通らないことがあります。 ただし、自主管理=悪い物件というわけではありません。
世帯数が多く、管理組合がしっかり機能しているケースもあります。
しかし、自主管理かつ世帯数30以下の場合は、管理が行き届かず資産価値が下がりやすいため注意が必要です(自主管理マンションはやばいと言われる理由。トラブルやデメリットを解説 )。
緊急輸送道路沿で耐震診断をしておらず旧耐震築の物件
緊急輸送道路沿いに建つ旧耐震の建物は、耐震診断が義務化されています。 にもかかわらず診断が行われていない場合、銀行は「リスクが高い」と判断し、審査が通らないことが多いです。
耐震性は資産価値に直結するため、必ず確認しておきたいポイントです(マンションの旧耐震基準と新耐震基準の違いや見分け方を解説!旧耐震が売れないのはなぜか?)。
鉄骨造
鉄骨造(S造)のマンションは古い物件に多く、銀行の審査が通りにくい傾向があります。
また、最近人気の「コンクリートむき出し天井」にリノベーションしようとしても、鉄骨がむき出しになり見栄えが悪くなることがあります。
マンションを検討するなら、基本的には鉄筋コンクリート造(RC造)を選ぶのが無難です(マンションの鉄骨造とは?鉄筋コンクリートとは?違いは?防音や断熱について)。
市街化調整区域
市街化調整区域は、原則として建物の建築や建て替えが制限されているエリアです。
建て替え不可の場合、住宅ローンは通りません。
都心では少ないですが、立川市や八王子市などでは一部に存在します。
畑や田んぼが多い地域は市街化調整区域の可能性があるため、必ず確認しましょう(東京都 市街化調整区域かどうかを確認できるWEBサイト)。
30㎡以下の物件
専有面積30㎡以下の物件は、ほとんどの銀行で住宅ローンの取り扱いができません。
理由は、投資用として使われる可能性が高いと判断されるためです。
また、銀行によって「壁芯面積」か「登記簿面積」か、どちらで審査するかが異なります。 多くの場合は登記簿面積で判断されるため、必ず謄本で確認しましょう(登記簿謄本(全部事項証明書)の見方と解説 取得方法 コンビニでも取得できるのか)。
戸建て 建蔽率超過と容積率超過
戸建ての場合、建蔽率や容積率が基準を超えていると、銀行の担保評価が通りにくくなります。
既存不適格であっても、審査が厳しくなるケースが多いです(東京都 建蔽率と容積率を検索できるWEBサイト)。
戸建て 増築、減築
建築確認を受けずに増築・減築をしている場合、違法建築とみなされる可能性があります。
銀行は違法性のある建物には融資できないため、審査は極端に通りにくくなります(国土交通省 建築基準法)。
接道道路が私道で使用承諾が取れていない
建築確認を受けずに増築・減築をしている場合、違法建築とみなされる可能性があります。
銀行は違法性のある建物には融資できないため、審査は極端に通りにくくなります(戸建についてはこちら:スケール不動産)。
よくある質問Q&A
- 中古物件で住宅ローンが組めないのはどんなケースですか?
接道していない物件、借地権、土砂災害特別警戒区域、世帯数が極端に少ない自主管理マンション、旧耐震で耐震診断をしていない物件、市街化調整区域、30㎡以下の物件などはローン審査が通りにくい傾向があります。金融機関が担保価値を低く評価するためです。
- 担保評価とは何ですか?なぜローンに影響するのですか?
担保評価とは、金融機関が「万が一返済不能になった場合に回収できる価値」を判断するものです。接道状況、土地形状、建物の構造、築年数、違法性の有無などで評価が決まります。担保評価が低いと、返済能力に問題がなくてもローンが否決されることがあります。
- 中古住宅の違法建築とはどんな状態を指しますか?
建築後に土地の一部を分筆して敷地面積が減っている物件、増築部分が未申請のままになっている物件、建ぺい率・容積率オーバー、接道要件を満たさない建物などが該当します。違法建築はローンが組めないか、現金購入しか選べないケースが多いです。
- 接道していない物件はなぜ住宅ローンが通らないのですか?
建築基準法では「幅4m以上の道路に2m以上接していること」が建築の必須条件です。接道していない物件は再建築不可となり、金融機関は担保として評価できません。そのためローン審査がほぼ通らず、売却も難しくなります。
- 市街化調整区域の物件は購入しても大丈夫ですか?
市街化調整区域は原則として建物の建築が制限される区域で、金融機関の評価が厳しくローンが通りにくい傾向があります。既存宅地であれば建築可能な場合もありますが、将来の建替えや売却が難しくなる可能性があるため慎重な判断が必要です。
まとめ
家を購入するというのは、人生の中でも大きな決断です。
そのため、物件の魅力や価格だけで判断してしまいがちですが、住宅ローン審査の観点から見た「資産価値」という視点を持つことは、将来の後悔を防ぐうえで非常に重要です。
今回紹介した項目は、すべて「絶対にダメ」というわけではありません。 世帯数が少なくても、借地権でも、駅近で条件が完璧なら買う価値がある物件もあります。
違法建築でも、その分価格が安く、あなたのライフスタイルに合うなら、選択肢として十分あり得ます。
大切なのは、“知らずに買う”のではなく、“理解したうえで選ぶ”という姿勢です。
リスクを理解していれば、将来売却するときにも慌てずに済みますし、購入後の満足度も大きく変わります。
物件選びは、知識があるかどうかで結果が大きく変わります。 今回の内容が、あなたの大切な住まい選びに少しでも役立てば嬉しいです。 焦らず、じっくり、納得のいく物件を選んでください。あなたの選択が、未来の安心につながります。

















